矢沢宰

夭折の詩人 矢沢宰

矢沢宰（やざわ おさむ、1944年5月7日 - 1966年3月11日）は、新潟県見附市出身の詩人です。21歳という若さで生涯を閉じましたが、病床で綴られた詩は、多くの人々の心を捉え、今もなお読み継がれています。

生涯

1944年、矢沢宰は父の赴任先である中国で生まれました。終戦後、母の故郷である新潟県見附市に移り住みます。幼少期から病弱で、1952年には腎臓結核を発症し、入退院を繰り返す生活を送ることになります。小学校も満足に通うことができず、病室での生活が続きました。

14歳頃から、病床で手鏡を使って周囲の様子を見ながら、大学ノートに詩や日記を書き始めました。病と闘いながらも、詩作への情熱は衰えることなく、自ら詩集を編むなど、創作活動に励みました。

奇跡的な回復を見せ、一時退院をしますが、1965年に腎臓結核が再発し再入院。翌年、劇症肝炎を併発し、21歳という若さでこの世を去りました。

作品

彼の詩は、病床での苦悩や、生きることへの渇望、そして日常の些細な出来事から感じた感動を、率直かつ繊細な言葉で表現しています。その詩は、死後、遺稿詩集として出版され、多くの人々に感動を与えました。

主な著書には、以下のものがあります。

光る砂漠： 矢沢宰の死後、最初に刊行された遺稿詩集です。彼の代表作として知られ、多くの人々に愛読されています。
足跡――矢沢宰《光る砂漠》日記編： 矢沢宰の日記をまとめたものです。彼の内面を深く知ることができます。
少年――矢沢宰詩集： 『光る砂漠』を増補改訂した詩集です。
矢沢宰詩抄： 見附市文芸協会によって編纂された詩集です。
* 矢沢宰詩集――光る砂漠： 思潮社から出版された詩集です。

これらの詩集は、矢沢宰の死後、多くの出版社から刊行され、その作品は広く知られるようになりました。

影響

矢沢宰の詩は、音楽の世界にも影響を与えています。萩原英彦が作曲した合唱組曲「光る砂漠」は、全日本合唱連盟が選定した日本の合唱作品100選に選ばれるなど、高く評価されています。

また、矢沢宰の故郷である見附市では、彼の功績を称え、18歳以下を対象とした創作詩コンクール「矢沢宰賞」が設けられています。彼の詩は、今もなお、多くの人々に感動を与え、創作活動の刺激となっています。

見附市の市報では、矢沢宰の詩や日記をモチーフにした4コマ漫画が連載されるなど、彼の作品は様々な形で親しまれています。

まとめ

矢沢宰は、短い生涯の中で、病と闘いながらも、詩作に情熱を燃やし続けた詩人です。彼の作品は、死後多くの人々に感動を与え、今もなお、読み継がれています。彼の詩は、生きることの喜びや苦しみ、そして日常の何気ない出来事の中に潜む美しさを、私たちに教えてくれます。その作品は、これからも多くの人々の心に残り続けるでしょう。

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