矢筈山 (三好市・つるぎ町)

矢筈山（やはずやま/やはずさん）

矢筈山は四国山地の東部に位置する剣山地の中でも特に有名な山で、祖谷山系の盟主とされています。徳島県内では一ノ森に次いで第5位の高さを誇り、四国百名山にも名を連ねています。山の標高は1,800m以上で、その姿は多くの登山者を惹きつけています。

同名の山々

興味深いことに、四国には矢筈山と名の付く山が他にも存在します。剣山地には、土佐矢筈山（標高1,607m）と呼ばれる山があり、また讃岐山脈にも1,647mの矢筈山があります。徳島県内だけでも那賀町（570m）や牟岐町（801m）の地域にそれぞれ矢筈山が存在し、地域的な重要性が感じられます。

山名の由来

矢筈山という名前の由来にはいくつかの説があります。一つは、屋島の戦いにおいて平家の将能登守教経が放った矢がこの山の山頂に飛来したという伝説です。『新編美馬郡郷土誌』では、山頂西側に位置する矢筈石と呼ばれる四角柱型の岩が、北側から見るとM字型の矢筈の形に似ていることから名付けられたという説もあります。また、南北から見た山の形が矢筈型に見えることに由来するとの意見も存在します。東日本では駒ヶ岳として知られるこのような形の山が、四国では矢筈山と呼ばれることに特徴的な地域性が感じられます。

山頂には二等三角点「矢筈山」が設置されており、登山者はこの点を目指して登ります。山の上部はダケカンバ林に覆われており、頂上付近は草原となっています。この草原には四国固有のシコクフウロが見られ、夏には色とりどりの花が咲き誇ります。山腹にはブナの原生林や、ウラジロモミの純林が広がっており、登山者は豊かな自然を楽しむことができます。

登山ルート

矢筈山への最も楽な登山ルートは、県道44号線の落合峠（標高1,520m）から北東へ尾根筋を縦走するルートです。この道は登りやすく、多くの人々に利用されています。道中は豊かな自然に囲まれ、疲れを忘れさせる美しい景色が広がっています。

まとめ

矢筈山はその美しさと登山の楽しさから、多くの登山者に親しまれている山です。自然の豊かさと歴史を感じながら、ぜひ一度登ってみてはいかがでしょうか。

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