矢野和之

矢野和之

矢野和之（やの かずゆき）は、1949年に兵庫県で生まれ、日本の財務行政に長く携わった元財務官僚です。一橋大学経済学部を卒業後、1974年に大蔵省（現 財務省）へ入省。証券局資本市場課を振り出しに、その多岐にわたるキャリアを展開しました。

大蔵省・財務省での歩み

入省後、大臣官房調査企画課を経て、福岡国税局調査査察部国税調査官として税務の現場を経験しました。その後、主計局調査課調査係長として調査業務に従事。税務署長としては、廿日市税務署でその任にあたりました。国税庁長官官房総務課課長補佐、東京国税局総務部総務課長と、国税組織における要職を歴任し、税務行政の運営にも深く関わりました。

地方財務局では、近畿財務局理財部次長として財務行政の一端を担いました。また、大蔵省に戻り、主計局主計官補佐（労働第一、二係主査）として、労働分野の予算編成に関わる重要な役割を担いました。国際金融局開発金融課課長補佐として、国際金融の分野にも従事し、アジア開発銀行総務会第22回年次会合においては日本政府代表随員を務めるなど、国際的な舞台での経験も積みました。

税関業務にも携わり、横浜税関の輸入部長、総務部長、そして監視部長を兼任するなど、幅広い分野での経験を積みました。大臣官房企画官として省内の企画立案にも関与した後、東京国税局に戻り、調査第一部長、課税第一部長と、国税局における重要な部署の責任者を務めました。関税局国際調査課長を経て、海外での経験を深める機会を得ます。

海外留学・研究経験

キャリアの中で、海外留学の機会も得ており、ハーバード大学に留学しています（国税庁長官官房付）。また、1995年から1999年にかけては、日本証券経済研究所ニューヨーク事務所長を務めるとともに、コロンビア大学の客員研究員としても活動しました。これらの経験を通じて、国際的な経済・金融情勢や研究分野における知見を深めたと考えられます。

中国財務局長そして退官後

帰国後、2000年7月には大臣官房参事官を務め、翌2001年1月には中国財務局長に就任しました。地方における財務行政の責任者としてその任を果たした後、2002年7月に大蔵省（現 財務省）を退官しました。

退官後は、その豊富な経験と知見を活かし、多岐にわたる分野で活動しています。2003年には株式会社ヴェリタスの取締役会長に就任。さらに2019年には株式会社聡研プランニングの顧問となりました。これらの役職のほか、日本プロゴルフ協会の理事を務めたほか、株式会社ワイズテーブルコーポレーション、株式会社リスト、株式会社アイア、永伸商事株式会社、株式会社デジタルアイデンティティ、株式会社テモナ、株式会社SKR、株式会社リファー、湘南美容外科、HGホールディングス株式会社（監査役）、株式会社旅酒（相談役）、株式会社ユニバース、Orchestra Holdings株式会社など、実に多くの企業や団体の顧問や監査役、相談役などを歴任しています。その活動範囲は、ゴルフ、飲食、不動産、アパレル、商事、コンサルティング、美容医療、ITなど、非常に多岐にわたっており、退官後も社会の様々な分野でその影響力を行使していることがうかがえます。

受章と著作

長年の功績が認められ、2019年11月には瑞宝中綬章を受章しました。

また、税務分野における専門知識に基づき、監修者として書籍にも関わっています。1994年には『平成6年版 回答事例による資産税質疑応答集』および『平成6年版 回答事例による所得税質疑応答集』（いずれも大蔵財務協会）の監修を手掛けています。

矢野和之氏は、財務官僚として国内外で幅広い経験を積み、退官後も多方面で活躍する人物として知られています。

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