矢野真 (外交官)

矢野真（やの まこと）

矢野真は、1884年8月19日に福岡県朝倉郡（現在の朝倉市）で生まれた日本の外交官です。1962年2月4日に生涯を閉じました。

経歴

矢野真は、矢野真三郎の三男として生まれました。彼は、炭鉱経営者であり篤志家であった佐藤慶太郎からの手厚い奨学金支援を受け、福岡県立中学修猷館、東京府立第一中学校を経て、1907年（明治40年）に第一高等学校英法科を首席で卒業しました。その後、1911年（明治44年）に東京帝国大学法科大学政治学科を卒業し、銀時計を授与されました。

1911年（明治44年）には、高等文官試験行政科を首席で合格し、東京府試補となりました。翌1912年にはオックスフォード大学へ留学。1913年（大正2年）に帰国すると、高等文官試験外交科も首席で合格するという偉業を成し遂げました。高等文官試験の行政科と外交科の両方で首席合格を果たしたのは、矢野真ただ一人です。1914年（大正3年）には外交官補としてイギリスに在勤しました。

1917年（大正6年）に帰国し、外務事務官兼外務書記官に就任。1920年（大正9年）には政務局第一課に配属され、同年9月にはジュネーブで開催された第1回国際連盟総会に日本代表者随員として出席しました。

1921年（大正10年）には公使館二等書記官として支那（中国）に在勤し、1922年（大正11年）には山東懸案解決共同委員会に日本国委員随員として出席しました。1924年（大正13年）には大使館一等書記官としてベルギーに在勤、1928年（昭和3年）7月には総領事として広東に在勤しました。1930年（昭和5年）には公使館一等書記官として再び支那に在勤し、同年には大使館参事官として中華民国に在勤（1932年8月には臨時代理公使を務めています）。1934年（昭和9年）2月には駐チリ兼ボリビア特命全権公使を経て、1936年5月（昭和11年）には駐スペイン特命全権公使に就任しました。当時、スペインの政情は不安定であり、他の国の外交官と同様に、首都マドリードではなくフランス国境に近いサン・セバスティアンに滞在していました。同年7月にスペイン内戦が勃発した後もスペイン国内に留まりましたが、同年8月13日に大使館員とともにフランスのサン＝ジャン＝ド＝リュズに退避しました。

1940年（昭和15年）には外務省嘱託となり、1941年（昭和16年）には仏印・タイ国国境画定委員会日本国委員を務めました。第二次世界大戦後は、NHK専務理事・国際局長などを歴任しました。

妻のかよは、外交官石井菊次郎の二女です。

栄典

1926年（大正15年）2月10日 - 勲四等瑞宝章
1940年（昭和15年）8月15日 - 紀元二千六百年祝典記念章

参考文献

秦郁彦編『日本近現代人物履歴事典』東京大学出版会、2002年。ISBN 978-4-13030-120-6。 537頁
人事興信所編『人事興信録 第13版下』人事興信所、1941年。 や19頁

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