知府

知府（ちふ）について

知府は、中国の明・清時代における地方行政官の一つです。この官職は、唐代において「知府事」として始まり、長い歴史を経て正式な地位を確立しました。知府は、各府と呼ばれる地方行政区画の長官として機能し、地方の行政や軍事において重要な役割を果たしました。特に、清代における知府の役割やその変遷については、当時の政治的な状況を理解する上で興味深い点が多くあります。

知府の起源

知府の起源は、唐代に遡ります。当時の知府は正式な官職ではなく、ごく少数の人数によって運営されていました。役割は知府事や権知府事と呼ばれ、地方行政を担う役割にとどまっていました。この知府制度は、その後の五代十国時代にも受け継がれ、地方のガバナンスに寄与しました。

正式な知府という職名が登場するのは、宋代のころからです。この時代、府という特別な州が設置され、その長官を「知府事」と呼ぶようになりました。特に宋代における知府は、府の軍政を統括とともに、狭い行政区のため他の官職との兼務が一般的でした。そのため、辺境地帯においては、知府の権限や影響力が特に大きい場合もありました。

知府の制度の変遷

元代においては、地方行政の構造が変わり、「路」という新しい行政区画が設置されたため、知府の公式な職務は終焉を迎えました。ただし、この時期にも「知府」という官職名は、路の長官であるダルガチの部下として存在していました。

明代になると、過去の制度を再び利用し、知府事が復活しました。この際、役職名が「知府」に改称され、明の地方行政体制を再構築する中で知府は重要な位置を占めるようになりました。清代の知府は、明代の制度を引き続き採用し、基本的な変化はほとんどありませんでした。

清代の知府は、宋代のように特別な州に限定されることなく、国中に府が設置されました。そのため、知府の権限は唐代や宋代に比べると低下しました。また、官位は当初は正四品とされていましたが、1753年（乾隆18年）には従四品に引き下げられ、職掌は次第に変化していきました。

まとめ

知府は、中国の官職の中でも特に地方行政における重要性を持った職務の一つです。唐代から始まり、明・清代を経て変遷してきたこの制度は、当時の政治や社会の状況を映し出す鏡ともいえます。知府という職位の歴史を見ることで、中国の地方行政の流れやその変化に対する理解が深まります。一般的に古い言い方を好む士大夫層により、「太守」とも称される知府は、時代背景とともにその意義を持ち続けました。

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