石の板

石の板：神の契約が刻まれた聖なる石

「石の板」とは、旧約[[聖書]]に登場する、モーセが神から授かった十戒が記された2枚の特別な石板のことです。ヘブライ語では「ルホット・ハブリット（契約の板）」と呼ばれ、『出エジプト記』にその記述が見られます。別名として「あかしの板」、「石板」、「掟の板」などとも呼ばれます。

伝承

聖書によれば、石の板は2組存在します。最初の組は神自身が記したものでしたが、モーセがイスラエル人による金の子牛崇拝に激怒し、砕いてしまいました。その後、モーセは自ら石を切り出し、神によって再び十戒が記されたとされます。

タルムードにおけるユダヤ教の伝統的な解釈では、石の板は空、天、そして神の玉座の究極性を象徴する青いサファイアでできていたとされています。しかし、トーラー学者の中には、聖書の記述にある「サピア」は実際にはラピスラズリであり、神の足元にあるサファイアの敷石を指していると主張する者もいます。

2組目の石の板は、契約の箱の中に納められました。

形と大きさ

現代では、石の板は上部が丸みを帯びた長方形として描かれることが一般的ですが、これはユダヤ教やキリスト教の伝統に基づいたものではありません。ラビの伝承では、石の板は角の尖った長方形とされており、3世紀のドゥラ・エウロポスのシナゴーグの壁画や10世紀頃までのキリスト教美術でもそのように描かれていました。

丸みを帯びた石の板は、メモ用の粘土板の影響を受けて中世に登場しました。ミケランジェロやアンドレア・マンテーニャの作品では、まだ尖った長方形で描かれており、その大きさもラビの伝承にほぼ基づいたものでした。しかし、レンブラントなどの後世の芸術家は、丸みを帯びた形状で、より大きく描く傾向がありました。

ラビの伝承によれば、石の板は四角形とされていますが、ラビ自身がレプリカが本物と完全に一致しないように、丸みを帯びた形で描くことを認めていたという情報もあります。石の板の寸法は、縦と横がそれぞれ6テファヒム（約48cm）、厚みが3テファヒム（約24cm）とされていますが、芸術作品においては、これよりも大きく描かれることが多いです。また、十戒の言葉は表面だけでなく、石全体に刻まれていたと伝えられています。

内容

ユダヤ教では、2組の石の板における十戒の配列について異なる解釈があります。ラビのハニナ・ベン・ガマリエルは、それぞれの板に5つずつ戒めが書かれていたと主張しています。一方で、複数の賢者は、十戒は契約を成立させるものであり、両方の板に同じ10の戒めが書かれていたと主張しています。この解釈は、古代エジプトの条約文を参考にしています。古代エジプトでは、他国との条約文は相手国のために複製されたからです。

エチオピア正教会

エチオピア正教会では、タボットと呼ばれる石の板のレプリカが重要な要素となっています。また、エチオピア正教会は、本物の契約の箱が同教会のシオンの丘聖母マリア教会にあると主張しています。

クルアーン

クルアーンでは、旧約[[聖書]]の十戒の内容には言及されていませんが、ムーサー（モーセ）が石の板を与えられたことは記述されています。

クルアーン7章145節では、石の板に戒律や説明が記されていると述べられており、人々がその戒律を固く守るように命じられています。

また、クルアーン7章150節では、モーセが怒って石の板を置いたとあり、7章154節では、モーセの怒りが静まった後、石の板を持ち上げたことが記されています。

ギャラリー

（ここに画像ギャラリーの内容を記述します。画像のパスや説明文など）

関連項目

板 (宗教)
タボット (宗教)：エチオピア正教会における石の板のレプリカ
世界最大の本：文字が彫られた石の板でできた石の本
十戒の石板を破壊するモーセ：レンブラントが描いた絵画

出典

（ここに参考文献を記載します）

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