石丸進一

石丸進一: 戦火に散った野球の星

石丸進一（いしまるしんいち、1922年7月24日 - 1945年5月11日）は、日本のプロ野球選手であり、大日本帝国海軍の軍人でもあります。彼は神風特別攻撃隊の隊員として戦死した唯一のプロ野球選手です。その運命的な生涯は、彼が残した偉業と共に語り継がれています。

幼少期と野球の始まり

石丸は佐賀県佐賀市水ヶ江町にて、理髪業を営む家庭に生まれました。父親は、子供たちに良い教育を受けさせるため、多くの借金を背負いました。家庭は貧しく、学校時代には兄の影響を受けて野球を始めます。佐賀商業学校に進学後、彼は速球派エースとして名を馳せることになります。「石丸のワンマンチーム」と称されるほどの才能を見せましたが、高校時代の甲子園出場はかないませんでした。

プロ野球界への道

卒業後、名古屋軍に入団。兄の石丸藤吉の推薦を受けたことでプロの舞台に立ちます。内野手として73試合に出場しながらも、投手としても常に出場できるよう体を鍛え続けました。1942年には見事な成績を収め、初登板から完封勝利を果たします。特にこの年に達成した20勝はチームに大いに貢献しました。その実力は、スリークォーターから放たれる速球と緻密な制球力に裏打ちされていました。

軍人としての任務

大学に通いながら兵役を免れていましたが、1944年に学徒出陣により召集され、海軍に配属されます。最初は飛行科を希望し、特攻隊員としての訓練を経て、「第五筑波隊」として沖縄方面に出撃。ここで彼の運命は大きく変わります。1945年5月11日、神風特別攻撃隊の一員として出撃し、消息を絶ちました。

エピソードと人間性

石丸は生前、多くのエピソードを残しています。ある試合前、彼が子供たちと一緒に遊んでいた際、三宅大輔が叱責しようとしましたが、その純粋な楽しさに心を打たれ、結局叱ることはありませんでした。また、巨人のスタルヒンと投げ合ったことが彼にとっての最大の喜びでした。彼は家計の借金を返済するため、給料の多くを返済に充て、厳しい生活を送っていました。

適応とレガシー

プロ野球界において彼の背番号26は、戦後しばらく欠番となりました。彼が営んだ野球への情熱と、特攻隊員としての誇りを今も多くの人々が記憶しています。2001年には、彼を題材にした映画『人間の翼 最後のキャッチボール』が制作され、石丸の生涯に新たな光を当てました。石丸はただの野球選手ではなく、戦争に身を捧げた勇者として記憶されています。彼の名は後の世代に受け継がれ、忘れられることはないでしょう。

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