石井五郎 (作曲家)

石井五郎（いしい ごろう）

石井五郎は、1903年（明治36年）3月15日に秋田県山本郡山本村（現在の三種町）で生まれ、1978年（昭和53年）1月22日に没した日本の作曲家です。舞踊家である石井漠の弟であり、作曲家の石井歓と石井眞木は甥にあたります。

生い立ちと音楽への道

石井五郎は、地元の小学校を卒業後、上京して大成中学校（現在の大成高等学校）に進学しました。卒業後、作曲家としての道を歩み始め、山田耕筰や成田為三に師事し、和声学や対位法を学びました。1929年には最初の作品発表会を開催し、1930年には新興作曲家連盟の創立会員となりました。1931年に結婚し、1937年9月にはヨーロッパへ留学、パリやベルリンを中心に音楽の研究に励み、1938年7月に帰国しました。

作曲家としての活動

帰国後の石井五郎は、作曲家として精力的に活動し、数々の賞を受賞しました。1939年には「田園舞曲」で毎日新聞音楽コンクール2位入選、1940年には「交響的序曲」で同コンクール1位入選、さらに同年に「建国賛歌」で紀元2600年記念NHK管絃楽懸賞に入選しました。1942年には「笛の踊」でNHK厚生楽曲懸賞に入選、1955年には「交響曲ニ調」で文部省芸術祭管絃楽懸賞に入選するなど、その才能が高く評価されました。

戦時中の疎開と教育活動

1944年には、秋田県能代市に疎開しました。終戦後の1945年からは、秋田県立能代中学校（現在の秋田県立能代高等学校）や能代女学校（現在の秋田県立能代北高等学校）で音楽教師を務めました。また、1947年には聖心学院や白百合保育園を創立し、院長として社会福祉にも貢献しました。その後、象潟町（現在のにかほ市）に移り、社会福祉法人白百合会理事長や象潟町教育副委員長などを歴任しました。

作曲家グループ「白濤会」の結成

1950年には、山本直忠、小山清茂、平井康三郎、金井喜久子、渡辺茂らと共に、作曲家グループ「白濤会」を結成しました。このグループは、日本の音楽界に新たな潮流を生み出すことを目指し、活発な活動を展開しました。

石井五郎は、作曲家としての活動に加え、教育者、社会福祉事業家としても活躍し、多岐にわたる分野でその才能を発揮しました。彼の作品は、日本の音楽史において重要な位置を占めており、後世に大きな影響を与えています。

主な作品

田園舞曲
交響的序曲
建国賛歌
笛の踊
交響曲ニ調

参考文献

富樫康『日本の作曲家』p.60（音楽之友社、1956年）

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