石井朋彦

石井朋彦氏は、1977年生まれの日本の映画プロデューサーです。スタジオジブリでキャリアをスタートさせ、その後Production I.G、株式会社クラフター（旧STEVE N' STEVEN）を経て、2017年にスタジオジブリへ復帰するという、ユニークな経歴の持ち主です。

彼のキャリアは、スタジオジブリ作品『千と千尋の神隠し』の宣伝業務から始まりました。鬼才・鈴木敏夫氏の下で映画プロデュースの基礎を学び、その後は数々の話題作に関わってきました。特に、シネコン増加による劇場との関係性の変化に着目し、従来の興行スタイルにとらわれない新しい試みにも積極的に挑戦しています。その代表例と言えるのが、3D立体視映画『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』におけるProduction I.G初の自主配給です。この作品では、劇場での生オーディオコメンタリー上映や、会場の様子と本編2D版の無料配信という、当時としては革新的な試みを実施しました。

石井氏の仕事は、単なる映画製作にとどまりません。関連イベントの企画・実施、舞台挨拶やライブストリーミングでの司会進行など、作品のプロモーションにおけるトータルプロデュースも担っています。彼の活動は、映画制作という枠を超え、作品を観客へ届けるためのあらゆる側面を網羅していると言えるでしょう。

彼の経歴を詳細に見ていきましょう。1999年にスタジオジブリに入社後、『ホーホケキョ となりの山田くん』では制作デスクとして、その後『千と千尋の神隠し』以降はプロデューサー補として活躍しました。『ゲド戦記』では制作進行を務めるなど、スタジオジブリ作品の制作に深く関与しています。さらに、短編アニメやCM制作にも携わっており、幅広い分野で経験を積んでいます。

2006年にはProduction I.Gへ移籍し、『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』や『東のエデン』など、話題作のプロデュースを手がけました。2011年には、前述の通り『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』の自主配給という大きな成功を収めています。

同年、神山健治氏がCEOを務める株式会社STEVE N' STEVEN（後に株式会社クラフターに社名変更）へ取締役として出向し、2017年にクラフタースタジオの常務取締役（兼）クラフター取締役に就任。そして、同年、スタジオジブリの制作部門再開に伴い、同社へ復帰を果たしました。

彼の作品リストは多岐に渡ります。スタジオジブリ作品を始め、『009 RE:CYBORG』、『花とアリス殺人事件』、『ムーム（原題 Moom）』、そして『映画 ふうせんいぬティニー なんだかふしぎなきょうりゅうのくに！』など、実写、アニメーションを問わず、数多くの作品にプロデューサーとして関わっています。また、テレビアニメ『東のエデン』や『ふうせんいぬティニー』シリーズ、『INGRESS THE ANIMATION』、そして『KICK&SLIDE』といったテレビアニメ作品のプロデュースにも携わっています。

さらに、短編アニメやCM制作にも携わり、その活躍は多方面に広がっています。そして、彼の経験と知識は、単なる作品制作にとどまらず、著書『自分を捨てる仕事術　鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド』、『思い出の修理工場』、『スタジオジブリで学んだこと』といった書籍にも反映されています。

石井朋彦氏のキャリアは、単なる映画プロデューサーという枠を超え、映画制作、プロモーション、そして出版活動と、多様な分野にまたがる、まさにマルチな才能を持つ人物であることを示しています。彼の今後の活動にも目が離せません。

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