石井米雄

石井米雄（いしい よねお）

概要

石井米雄は、日本の歴史学者として広く知られており、特に東南アジアの歴史、特にタイの研究において大きな影響を与えました。1929年10月10日に東京で生まれ、2010年2月12日には肝不全によりこの世を去りました。彼は京都大学名誉教授、神田外語大学名誉教授であり、文化功労者としても評価されています。

生い立ちと学歴

石井は1945年に山形県高瀬村に疎開し、そこで学業に励みながら勤労動員に参加しました。戦後、1947年に東京に戻り、早稲田大学に入学。言語学への興味から、多くの言語を学び始めましたが、学業は進まず除籍。その後、1953年に東京外国語大学に入学し、大学を中退後は外務省で働くことになりました。

1957年にはタイに赴任し、チュラーロンコーン大学で学んだ先進的な知識を持つ教授陣から多くの影響を受けました。1958年にはタイの仏教寺院で出家修行を行い、僧名を得ました。帰国後は外務省でタイに関する政務を担当しました。

学術的キャリア

1965年に京都大学東南アジア研究センターの助教授となり、その後教授に昇進。1973年にはロンドン大学に留学し、「上座部仏教の政治経済学」をテーマに法学博士を取得。1990年からは上智大学教授を務め、さらに神田外語大学学長やアジア歴史資料センターの長を歴任しました。

受賞と栄典

石井は、その卓越した業績に対し、1994年には福岡アジア文化賞学術研究賞を受賞し、1995年には紫綬褒章を受章します。また、2000年には文化功労者に選ばれ、2008年には瑞宝重光章が授与されるなど、数々の名誉を受けました。2010年には従四位に叙せられました。

研究活動と業績

彼の主な研究分野は、タイを中心とした東南アジア史であり、数多くの言語を自在に操ることから「外国語の達人」と自称していました。タイの葬式で頒布される個人の略歴や地域史を記載した冊子の収集を行い、特に9,000冊に上る「葬式本」コレクションを京都大学に寄贈しました。このコレクションは、タイ国外でも最大のものであり、学術研究に貢献しています。加えて、仏教書に関するコンピューター検索システムの開発にも関与しました。

著作と出版物

彼は多くの著書や論文を執筆しており、特に『上座部仏教の政治社会学』や『タイ仏教入門』などが著名です。また、共同執筆や編著としても多くの資料を残しています。彼の研究は日本における東南アジア研究の基盤を築くものであり、その業績は後進に多大な影響を与えています。

社会貢献

石井は日本学術振興会の21世紀COEプログラムのプログラム委員会の副委員長も務め、社会的な活動にも積極的に参加しました。彼の理念や研究姿勢は、現代の学問や社会への貢献として高く評価されています。彼の研究は、国際的な文化交流や理解を促進する上で重要な役割を果たしており、今なお多くの人々に影響を与え続けています。

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