石原進

石原進（いしはら すすむ）は、1945年4月30日生まれの日本の著名な経営者です。特に九州旅客鉄道（JR九州）において要職を歴任し、同社の発展に貢献しました。また、JR九州退任後も、NHK経営委員長や北九州市立大学理事長など、多様な分野でその手腕を発揮しました。

幼少期を東京都世田谷区の都営住宅で過ごしました。教師であった父と母、姉妹、従姉妹との6人家族でした。世田谷区の小中学校を経て、東京都立戸山高等学校を卒業。その後、1年間の浪人期間を経て東京大学教養学部に入学しました。大学ではワンダーフォーゲル部に所属しましたが、旧司法試験の勉強に専念するため同好会へ移籍しました。司法試験では論文式試験で不合格となり、国家公務員上級試験の席次も希望省庁への入省には至りませんでした。学生運動の影響もあり、大学卒業は通常の時期より遅れました。

1969年6月、当時の日本国有鉄道（国鉄）に入職しました。事務職として採用され、旭川での体験入隊や研修を経て、最初の任地は盛岡鉄道管理局でした。ここでは駅務のほか、蒸気機関車の運転手や炊事担当なども経験しました。1971年からは国鉄事業局で関連事業を担当。フランス語を学び、1973年からは社内制度を利用してフランスへ留学。当初はグルノーブル大学に学びましたが、語学力不足から語学学校へ再入学し、その後パリ第1大学経営大学院（I.A.E.）で経営学を修めました。学業に追われる日々で睡眠時間は常に不足していたといいます。帰国後、職員局給与課に配属。門司鉄道管理局総務部長を経て、国鉄改革が具体化した時期には国会担当の調査役として多忙を極めました。

1987年の国鉄分割民営化に伴い、石原氏は九州旅客鉄道（JR九州）へ入社。以来、九州に拠点を移し、総合企画本部経営管理室長を皮切りに、総務部長、取締役総務部長、鉄道事業本部副本部長兼営業本部長、関連事業本部長など、要職を歴任しました。2002年6月には代表取締役社長に就任。社長在任中には、JR九州高速船など多くの関連企業の無給役員も兼務しました。2009年6月には代表権のある会長に就任し、後任社長に唐池恒二氏を指名。2012年6月には取締役会長、2014年6月からは相談役としてJR九州に関与しました。この間、同社の経営多角化や地域貢献に尽力。特に、水戸岡鋭治氏をデザイン顧問に起用し、個性的な車両デザインや駅空間の創出による鉄道事業の活性化を推進した功績は大きいとされています。また、福岡経済同友会代表幹事、九州経済連合会副会長、西日本シティ銀行監査役など、九州地域の経済・社会活動でも幅広く活躍しました。2007年からは在福岡トルコ共和国名誉総領事も務めました。

JR九州を退任後、2010年12月にはNHK経営委員に就任。2013年11月に再任され、2016年6月には経営委員長に選出されました。経営委員長としては、当時の上田良一会長に対する厳重注意に関する議事録の扱いが後に議論となりました。また、2011年4月からは公立大学法人北九州市立大学の理事長も務め、大学経営にも深く関与しました。

文化・社会活動にも積極的で、九州大学総長選考委員、福岡市文化芸術振興財団理事長、日本マーケティング協会副会長など、多岐にわたる団体の役職を歴任しました。JR九州の列車『つばめ』や『SL人吉』の愛称名を揮毫したことでも知られています。2019年にはこれまでの功績が称えられ、旭日重光章を受章しました。

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