石山龍児

石山龍児：日本映画黎明期を支えた名脇役

石山龍児（いしやま りゅうじ、1893年9月2日 - 1973年）は、昭和初期の日本映画界において、その黎明期を支えた俳優の一人です。青森県出身の彼は、1944年まで松竹に所属し、主に清水宏監督の作品を中心に、数多くの映画で個性的な脇役を演じました。享年80歳。

特筆すべきは、出演作品ごとに芸名を微妙に変えていたことで、西山龍、石山隆嗣、石山竜児、石山竜次、石山竜二、石山龍嗣など、様々な名義でクレジットされています。これは、当時の映画界における俳優の活動形態や、石山自身の役者としてのこだわりを示すものかもしれません。

石山龍児は、単なる映画俳優としてだけでなく、作家・井伏鱒二との深い親交でも知られています。井伏は「鶏肋集」などのエッセイの中で、石山との交流について触れており、その人間味あふれる人物像を垣間見ることができます。

主な出演作品

石山龍児は、数多くの映画に出演していますが、その中でも特に注目すべき作品を年代順にいくつか紹介します。

1921年：濁流、不滅の呪
1923年：噫森訓導の死、実説国定忠治 雁の群、お転婆娘、呪はれの日
1924年：感じの好い映画集 《星》、牛は牛づれ、小唄集 第三篇 籠の鳥、関の五本松
1925年：すたれ者、青春、落武者、恋の捕縄、乃木大将伝
1926年：若き女の死、真紅の情熱、お坊ちゃん、裏切られ者、秋の歌、愛、埋れたる青春
1927年：三人の娘、お照とお雪、やきもち、春の雨、炎の空
1928年：好きなればこそ、村の花嫁、愛欲変相図、富岡先生、美しき朋輩達、晴れ行く空
1929年：あひる女、ステッキガール、浮草娘旅風俗
1930年：生きる力、真実の愛、霧の中の曙、若者よなぜ泣くか
1931年：山村の光
1932年：夜はお静かに、人柱四勇士、愛の防風林
1933年：泣き濡れた春の女よ、恋愛一刀流、旅寝の夢、出来ごころ
1934年：与太者と花嫁、都会の感傷、出臍の力、私の兄さん
1935年：東京の英雄、春琴抄 お琴と佐助
1936年：若旦那 百万石、有りがたうさん、家族会議、君よ高らかに歌へ、男性対女性
1937年：恋愛無敵艦隊、金色夜叉、恋も忘れて、花形選手、風の中の子供
* 1957年：風雲急なり大阪城 真田十勇死総進軍、東京暮色、ひかげの娘

これらの作品群からは、石山龍児が多岐にわたる役柄を演じ、その演技力で映画を彩っていたことがわかります。特に、清水宏監督作品における石山の存在感は際立っており、日本映画史にその名を刻んでいます。

墓所

石山龍児の墓所は、東京・四谷のイグナチオ教会にあります。彼の足跡を辿りたい方は、ぜひ訪れてみてください。

石山龍児は、昭和初期の日本映画界において、確かな存在感を示した名脇役であり、その功績は、これからも語り継がれていくことでしょう。

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