石川総弾

石川総弾（いしかわ ふさただ）

石川総弾は、江戸時代中期に常陸下館藩の第4代藩主を務めた人物です。伊勢亀山藩石川家分家の出身で、その生涯は藩政の立て直しと教育普及に尽くされました。

生涯

宝暦5年（1755年）、第3代藩主・石川総候の三男として生まれた総弾は、兄二人が早世したため、明和6年（1769年）に世子となります。翌年には父の死により家督を継ぎ、藩主となりました。明和8年（1771年）には将軍・徳川家治に拝謁し、従五位下・近江守に叙任され、後に若狭守に改めます。

寛政7年（1795年）、総弾は亡くなりますが、実子がなく、弟の総般を養子に迎えました。

藩主としての功績

総弾は藩主として非常に有能であり、藩の財政を立て直すために様々な政策を実行しました。特に、真岡木綿の原料となる綿花の生産を奨励し、藩の産業を発展させました。この政策は藩財政の安定に大きく貢献しましたが、天明の大飢饉が発生すると、状況は一変します。加えて、領内は洪水や大火に見舞われ、藩財政は破綻寸前にまで追い込まれました。

しかし、総弾は諦めませんでした。経費削減や博打の禁止といった倹約策を徹底し、藩の風紀を正しました。さらに、災害対策費をまとめた8か条の法令を制定し、藩政の再建に取り組みました。これらの努力の結果、藩財政は徐々に回復に向かいました。

教育への貢献

総弾は教養人としても優れており、北条玄斎から心学を学びました。また、黒板政胤を助け、学問所である有隣舎を創設し、藩士や領民への教育普及に尽力しました。彼の教育に対する熱意は、藩全体の学問水準の向上に大きく貢献しました。

系譜

父母
父：石川総候
正室
阿充：石川総慶の娘
子女
娘：石川総親室、石川総般の養女
養子
石川総般：実弟

総弾の生涯は、藩の財政再建と教育普及という二つの大きなテーマに彩られています。彼の業績は、下館藩の歴史において重要な位置を占めています。

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