石田礼助

石田礼助の生涯

石田礼助（いしだ れいすけ、1886年2月20日 - 1978年7月27日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の実業家である。彼は三井物産の代表取締役社長や、日本国有鉄道（国鉄）の総裁を歴任し、日本の経済界および鉄道業界に大きな影響を与えた。

生い立ちと初期のキャリア

静岡県賀茂郡松崎町で漁師の家に生まれた石田は、麻布中学校を経て1907年に東京高等商業学校（現在の一橋大学）を卒業する。卒業後、三井物産に入社し、シアトル、ボンベイ、大連、カルカッタ、ニューヨークといった多くの国際的な支店での勤務を経て、1939年には同社の代表取締役社長に就任した。その間、特に大豆や錫の取引を通じて成功を収め、さらなるキャリアの基盤を築いた。

戦争と辞職

1941年、日米関係の緊張が高まった際、石田は昭和天皇に戦争回避を訴えることを試みた。この行動は波紋を呼び、結果として彼は三井物産を辞職することになった。辞職後は産業設備営団の顧問に就任し、1943年には交易営団の総裁となるが、戦後は公職追放の憂き目に遭った。

日本国有鉄道総裁としての活動

1956年に日本国有鉄道の監査委員長に就任し、さらに1963年には第5代国鉄総裁に就任した。彼の任期中、国鉄は経営合理化や民営化に向けた取り組みを開始した。石田は「公職は奉仕すべきもの」とし、報酬の返上や国民の信頼を得るための努力を惜しまなかった。

1964年には、東海道新幹線が開通し、その式典でテープカットを行った。さらに「赤字83線」の廃止提言や国道バスの参入など、鉄道の合理化に取り組みつつ、運賃の改革や設備の近代化にも着手した。特に、彼は鉄道の公共サービスの重要性を強調し、「持たせ切り」を禁止するなどの措置を講じた。

辞任と評価

彼の国鉄総裁としてのキャリアは、1969年の運賃値上げ法成立後、高齢を理由に辞任するまで続いた。多くの職員に見送られて本社を去った彼の影響は、後に多くの賛否を生むこととなった。国鉄の近代化を推進した彼の施策は評価される一方、批判も多く、一部では赤字を拡大させたとの指摘もあった。

人物像と影響

石田は、国会での発言が話題になり、特に「人命を預かる鉄道員とたばこ巻きの専売の同じ給料はおかしい」といった発言が印象的であった。また、鶴見事故の際には感情をあらわにしたというエピソードが彼の人間性を物語っている。

新幹線に対する姿勢には冷ややかな面もあり、後継者たちとの対立もあったが、その事業推進においては国家プロジェクトとしての重要な役割を果たした。彼の在任中に策定された計画は、後の鉄道の発展に大きく寄与したとされている。

結び

1978年に92歳で死去した石田の墓は鎌倉円覚寺にあり、彼の存在は日本の鉄道史における重要な一ページとして記憶されている。実業家としてのキャリアや国鉄総裁としての政策は、現在でも語り継がれ、評価され続けている。

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