石田英吉

石田 英吉（いしだ えいきち）

石田英吉は、幕末から明治時代にかけて活躍した土佐藩士であり、政治家でした。天保10年11月8日（1839年12月13日）に生まれ、明治34年（1901年）に亡くなりました。彼は、変名を伊吹周吉や伊吹慶良としても知られています。英吉の生涯は、医師の家系に生まれながらも、志士としての道を選んだことから始まります。

幕末・戊辰戦争での活動

英吉は土佐藩の医師である伊吹泰次の子として育ちました。若い頃には坂本龍馬の義兄である高松順蔵の私塾で学び、後に大坂の適塾で緒方洪庵の教えを受けます。しかし、彼の志は医術から政治活動へと向かいます。文久3年（1863年）には、伊吹周吉という名で天誅組に参加し、大和挙兵に参陣。伍長として多くの戦闘に参与しましたが、天誅組が壊滅すると、忠光を護衛する形で大坂へ逃げ込みます。

その後、長州に移り、忠勇隊に加わった英吉は元治元年（1864年）7月の禁門の変にも参加。負傷し再び長州に戻ると、高杉晋作と合流し奇兵隊の創設に寄与しました。坂本龍馬が亀山社中を結成すると、英吉もそのメンバーとなり、第二次長州征伐ではユニオン号の砲手として活躍しました。

蘇生した海援隊において、英吉は長岡謙吉らと共に組織の運営に尽力。戊辰戦争では隊長として戦場に赴き、出身地である秋田へも海路で侵攻。各地での戦闘を経て、明治維新における重要な役割を果たしたのです。

維新後の活動

明治維新の後、英吉は多くの県知事職を歴任します。特に秋田県令や千葉県知事としての活動が注目され、その農政面での功績は計り知れません。彼が主導した種苗交換会は現在も続いており、その影響は大きいです。また、当時の農商務大臣である陸奥宗光と連携し、国家の政策形成に関与しました。

明治29年（1896年）にはその功績が認められ、男爵に叙せられました。さらに、明治31年（1898年）の貴族院選挙では男爵議員として選出され、その後も在任し続けました。海援隊における彼の活躍は、長岡謙吉と共に「二吉」と称されるほどであり、福岡孝弟や陸奥と並ぶ実力者とみなされていました。

栄典と親族

英吉は様々な栄典を受けています。1886年には従四位、1890年に従三位を叙され、最終的に1900年には正三位まで昇進。また、勲一等瑞宝章を受け取ったのも同年で、維新の功によるものでした。彼の子である八弥は文化人類学者として名を馳せましたが、政治的な背景から男爵位を返上することとなります。

晩年と墓所

石田英吉は明治34年に63歳で亡くなります。彼の墓地は京都市の真如堂吉祥院にあり、あわせて彼の生家跡には顕彰碑も建立されています。英吉の生涯と業績は、幕末から明治にかけての日本の歴史に深く刻まれています。

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