石黒務

石黒務について

石黒務（いしぐろ つとむ）は、天保11年12月28日（1841年1月20日）に生まれ、明治39年（1906年）3月19日に亡くなった、日本の武士（彦根藩士）であり、後に内務官僚として活躍した人物です。通称は綱次郎、伝右衛門といい、明治維新後に務と改名しました。雅号は湖東小史。

生い立ちと幕末の動乱

彦根藩士・石黒伝右衛門の子として生まれた石黒務は、生後わずか7ヶ月で父を亡くし、家督を相続しました。文久2年（1862年）には内目付に就任し、藩政に携わるようになります。文久3年（1863年）には生麦事件の賠償を求める四カ国艦隊の横浜入港に伴う警備、泉州堺浦の警備に出動。元治元年（1864年）には藩主・井伊直憲が京都守護を命ぜられたため、伏見の警備に従事しました。京都留守居役も務め、第二次長州征討にも参加しています。

慶応3年（1867年）には評定加役、物頭次席に就任。同年12月、藩論が朝命遵奉と決した際には、家老・岡本半介と共に徳川慶喜の新政府への参加を条件と主張しましたが、下級藩士の無条件遵奉説が採用されました。

戊辰戦争と明治維新

戊辰戦争では、東山道鎮撫総督・岩倉具定の指揮下に入り、関東、奥羽を転戦し、会津城籠城戦にも参加しました。明治元年（1868年）の藩政改革では、議行局二等執事兼議長に就任し、その後も権少参事、権大参事を歴任しました。

明治4年7月14日（1871年8月29日）の廃藩置県により、彦根県権大参事となり、その後、長浜県権大参事、同県七等出仕、額田県権参事、浜松県権参事、同参事、兼同六等判事、静岡県参事、同大書記官などを歴任し、明治13年（1880年）12月27日には内務少書記官となりました。

福井県令・知事として

明治14年（1881年）2月7日、福井県令に就任し、明治19年（1886年）7月19日、地方官官制改正に伴い同県知事となりました。県知事としては、士族授産、勧業・教育の振興、土木事業の推進などに尽力しました。明治22年（1889年）2月27日、知事を非職となりました。

家族

二女の操は岡田良平の妻となり、三男の塚本小四郞は東京帝国大学工科大学機械科を卒業後、旅順工科大学教授となりました。

栄典

石黒務は、その功績により、以下の位階と勲章を受けています。

位階
1886年（明治19年）11月16日 - 正五位

勲章等
1885年（明治18年）4月7日 - 勲六等単光旭日章
* 1889年（明治22年）11月29日 - 大日本帝国憲法発布記念章

まとめ

石黒務は、幕末の動乱期から明治維新、そして地方行政を担った人物です。武士としての経験と、官僚としての手腕を活かし、日本の近代化に貢献しました。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた人々の姿を今に伝えています。

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