砂子沢峠

砂子沢峠（すなこざわとうげ）

砂子沢峠は、秋田県北秋田市と秋田県大館市の市境に位置する峠です。

概要

峠は、北秋田市阿仁前田の東方を流れる小又川に沿って大杉（大杉沢との合流地点）を過ぎ、大館市比内町大葛の南方から流れる犀川に沿って上流の萱ノ戸沢へと続いています。

かつてこの峠は「揚峠（あげとうげ）」と呼ばれており、現在の砂子沢峠よりも約500mほど東南東に位置していました。揚峠へと続く北秋田市側の沢は「ガシャノサワ」と呼ばれていました。この名前は、地域でタニウツギのことを「ガシャノハナ」と呼ぶことに由来し、その花が沢山咲く沢という意味合いがあります。

江戸時代の紀行家、菅江真澄は1803年にこの峠を往復し、湯の沢温泉に通った様子を「秀酒企乃溫濤」に記録しています。その中で、彼は峠の様子を「…大谷、戸沢、泥繋を経て長シ台といふ川づらの一ツ家にやすらひて、揚といへる山路はるばるとのぼり、いきぐるしう、からくして峠によぢて、杜良(森吉)の嶽の雪まだらに見渡して涼しう、岩にしりうたげせり…」と描写しています。また、現在は森吉ダムの底に沈んでいる砂子沢集落についても、絵図と共に記述しており、山間地でありながらも寒村ではない様子がうかがえます。これは、集落が国境警備の役割を担っていたためと考えられています。

幕末の戊辰戦争の一部である秋田戦争中の1868年8月28日には、大葛鉱山を占領した盛岡藩兵がこの峠に押し寄せるという情報が入り、秋田藩は警備体制を強化しました。このことからも、砂子沢峠が軍事上も重要な地点であったことがわかります。

参考資料

「角川日本地名大辞典」編纂委員会『角川日本地名大辞典 5 秋田県』角川書店、1980年3月8日。ISBN 4-04-001050-7。

関連項目

日本の峠一覧
* 東北地方の峠一覧

もう一度検索