砂防林

砂防林とは

砂防林（さぼうりん）とは、土砂の移動を抑制し、土砂災害を防止するために造成される森林のことです。これは、飛砂による被害を防ぐ防砂林とは区別されます。砂防林は、山地や海岸地域において、土砂の流出や崩壊を防ぎ、人々の生活や財産を守る重要な役割を担っています。

砂防林の役割

砂防林の主な役割は、以下の通りです。

土砂の移動抑制: 森林の根が土壌を固定し、雨水などによる土砂の流出を防ぎます。また、地表を覆うことで、風雨による土壌の浸食も抑制します。
災害防止: 土砂崩れや地すべりなどの土砂災害から、家屋や道路などの生活基盤を守ります。
環境保全: 森林は、生態系の維持や水資源の涵養、二酸化炭素の吸収などの機能も持っており、環境保全にも貢献します。

砂防林に使われる樹木

砂防林には、その土地の気候や土壌に適した樹木が選ばれます。代表的な樹種としては、クロマツが挙げられます。クロマツは、乾燥に強く、潮風にも耐えるため、海岸地域の砂防林によく利用されます。その他にも、地域の特性に応じて、さまざまな種類の樹木が植えられています。

砂防林の造成

砂防林は、自然に形成される場合もありますが、多くは人工的に造成されます。造成にあたっては、まず地形を整え、土壌を改良した後、樹木を植えます。また、初期の段階では、イネ科の植物や低木などを植えて、土壌の固定を図ることもあります。

庄内海岸の砂防林

山形県の庄内海岸では、太平洋戦争後の1951年から砂防林の整備が開始されました。砂丘を形成した後、ハマニンニクやアキグミなどの植物を植えて砂の固定を行い、その後クロマツを植栽しました。約30年かけて砂防林が完成し、現在は庄内海岸林として知られています。この事例は、人工的な砂防林造成の成功例として広く知られています。

砂防林の維持管理

砂防林は、造成後も適切な維持管理が必要です。定期的な間伐や下草刈り、病害虫の防除などを行い、森林の健康状態を保つことが重要です。また、必要に応じて、樹木の植え替えや土壌改良も行います。

まとめ

砂防林は、土砂災害を防ぎ、私たちの生活を守る上で欠かせない存在です。その役割を理解し、森林を大切にすることが重要です。

参考文献

米倉久邦『日本の森列伝』山と渓谷社〈ヤマケイ新書〉、2015年6月1日。ISBN 978-4-635-51026-4。

関連項目

防災林（災害防止林）
保安林（防風林 / 防霧林 / 防雪林 / 雪崩防止林 / 水害防備林 / 防潮林 / 防砂林 / 砂防林 / ほか）
防音林
防煙林

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