碇ヶ関御関所

碇ヶ関御関所について

碇ヶ関御関所（いかりがせきおんせきしょ）は、陸奥国の碇ヶ関、現在の青森県平川市にかつて津軽藩によって設けられた関所です。江戸時代の藩政の時期には、野内（青森市）や大間越とともに「津軽三関」の一つとして重要な役割を果たしました。特に、四代藩主の津軽信政の寛文年間には、参勤交代の道が大間越から碇ヶ関へと変更され、この関所の重要性が高まったことが知られています。

概要

碇ヶ関御関所は1586年から1871年の約280年間にわたり存在しました。この関所は、秋田藩との境にある矢立峠の下に位置し、湯ノ沢道と碇ヶ関道が交差する地点に「峠下御番所」、南部道との分岐点に「中の番所」、津刈川が平川に合流する地点に「船岡御番所」、町の南端の入口にあたる場所には「大橋の番所」が設けられていました。多くの人々が通ったこの地点は、通常「碇ヶ関番所」と呼ばれていました。

さらに、脇道番所として早瀬野と島田（大鰐町）の甚吉峠にも番所が存在し、これらは補助的な役割を果たしました。これらの番所は町奉行の指揮下にあり、15人の町同心や2人の名主、5人の月行事、1人の勤番目付らが役割を果たしました。町奉行は二人が交代制で4ヶ月ごとに勤務していました。

武器と防備

文化8年（1811年）の記録によれば、当時の武器としては槍が10本、弓が10張、矢が200筋、鉄砲が20挺と詳細に記載されています。中の番所や上の番所にも小規模ではあったものの武器が保存されていたことが分かっています。1788年に古川古松軒がこの関所を訪れた際には、その厳重さや整備の良さを「普請至って念の入りし番所」と称賛する記録も残されています。

歴史的背景

この関所は1586年に津軽為信によって設置されましたが、町のもとの名称は碇ヶ岡で、関所の設置によって碇ヶ関に改名されました。1821年には、津軽寧親が相馬大作の待ち伏せを避けて大間越関所を通り弘前に帰る際に、碇ヶ関を通らないという巧妙な選択をしたことも記録されています。

現在の状況

現在、歴史的な遺構の一部は津軽湯の沢駅の近くに位置する折橋御番所で見ることができます。この場所は1984年に再現されたもので、関所跡は2005年に道の駅いかりがせきに移転し、一般に公開されています。また同時に碇ヶ関関所資料館も設立され、多くの訪問者がこの歴史的地点を訪れるようになっています。

遺構と観光

現在残る遺構には表番所や高麗門があり、これらは当時の関所の貴重な証拠です。歴史を感じることのできる場所として、地元住民や観光客にとって価値あるスポットとなっています。津軽為信の足跡を辿る旅として、多くの人々思い出深い形で訪れています。

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