神代桜

神代桜：悠久の時を生きる巨木、その歴史と再生



神代桜（じんだいざくら）は、山梨県北杜市武川町の実相寺境内にそびえ立つ、樹齢1800年とも2000年とも言われるエドヒガンザクラの老木です。その圧倒的な存在感から、日本五大桜または三大巨桜の一つに数えられ、1922年には国の天然記念物（名称：山高神代ザクラ）に指定されました。さらに、1990年には新日本名木百選にも選ばれています。

古代からの息吹



神代桜の歴史は古く、日本武尊が東征の際に植えたという伝説や、鎌倉時代に日蓮が樹勢回復を祈願したという逸話が残されています。大正時代には、高さ13.6ｍ、枝張り東西27.0ｍ、南北30.6ｍ、幹回り10.6ｍを誇り、その堂々たる姿は人々を魅了しました。

衰退と再生



しかし、時代とともに樹勢は衰え、昭和初期には高さや枝張りが小さくなり、1948年には「あと3年で枯れる」とまで言われるほどでした。台風による枝折れも重なり、1984年には保護用の屋根が設置される事態となりました。

2002年、武川村教育委員会は日本花の会に樹勢衰退の原因究明を依頼。「山高神代ザクラ樹勢回復調査委員会」による調査の結果、天然記念物指定後に行われた石積みの囲いと、その内側の盛り土が原因であることが判明しました。特に、1971年の2度目の盛り土は、根への酸素供給を断ち、ネコブセンチュウ病を蔓延させるなど、樹勢悪化を加速させました。

2003年からは、日本花の会の設計・施工管理のもと、地元の雲松園が樹勢回復工事に着手。土壌改良材を混ぜた赤土で埋め戻し、地表部には養分と微生物に富んだ培養土を敷くなどの対策が行われました。その結果、翌年には新枝の伸びが2倍になるなど、目覚ましい回復を見せ、2006年には保護用の屋根が撤去されました。

宇宙への旅、そして未来へ



2008年から2009年にかけて、神代桜を含む14種の花の種が国際宇宙ステーション「きぼう」に滞在。無重力状態が発育に与える影響を調べる実験が行われました。帰還後、わずか2粒が発芽し、そのうち1本は「宇宙桜」として実相寺で公開されています。2012年には異例の速さで初開花し、大きな話題となりました。

この宇宙神代桜から生まれた2世樹は、東日本大震災からの復興のシンボル「きぼうの桜」として、岩手県洋野町や福島県楢葉町など、被災地に贈呈・植樹されています。その後も、福島県浪江町、富岡町、飯舘村、宮城県名取市へと贈られ、希望の光を灯し続けています。

三大巨桜の苗木



実相寺の境内には、神代桜の他にも、三大巨桜である三[[春滝桜]]（福島県三[[春町]]）と淡墨桜（岐阜県本巣市）から贈られた苗木が植樹されており、巨桜たちの競演を見ることができます。

アクセス




神代桜は、その悠久の歴史と、人々の手による再生、そして宇宙へと飛び出した希望の物語を通じて、私たちに勇気と感動を与えてくれます。春には満開の桜が咲き誇り、訪れる人々を温かく迎え入れてくれるでしょう。

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