神奈川県道30号戸塚茅ヶ崎線

神奈川県道30号戸塚茅ヶ崎線は、神奈川県横浜市戸塚区を起点とし、藤沢市を通過して茅ヶ崎市に至る主要地方道として位置づけられています。相模湾に沿った湘南エリアにおいて、東西方向を結ぶ重要な幹線道路の一つです。

概要

この県道の最もよく知られた特徴の一つは、正月の風物詩である東京箱根間往復大学駅伝競走、通称「箱根駅伝」のコースとして全線が使用されていることです。具体的には、往路の3区間、そして復路の8区間として設定されており、毎年新春には多くの大学ランナーが沿道の声援を受けながらこの道を駆け抜けていきます。

起点の横浜市戸塚区に位置する藤沢バイパス出口交差点から、藤沢市内の藤沢橋交差点にかけての区間は、かつて江戸時代に整備された旧東海道の一部にあたります。この地域には、東海道五十三次の宿場の一つである藤沢宿が置かれており、特に遊行寺や藤沢橋の周辺が宿場の中心地として栄えました。旧東海道には、敵の侵入を遅らせるための防御策として「鍵の手」と呼ばれるクランク状の道筋が設けられていた場所も存在しました。現在の藤沢橋が架けられたのは、大正12年（1923年）に発生した関東大震災よりも後のこととされています。

近年の道路環境改善の取り組みとして、2019年度末までに富士見橋から高砂小学校付近にかけての区間において、自転車利用者の安全確保を目的とした自転車専用レーンの整備が段階的に進められました。しかしながら、交差点における右折レーンの設置など、道路構造上の都合により、整備されたレーンが連続せず途切れている箇所も一部に見られます。

路線データ

神奈川県道30号戸塚茅ヶ崎線の起点は、横浜市戸塚区の影取町と東俣野町にまたがる藤沢バイパス出口交差点です。ここでは、日本の大動脈である国道1号およびそのバイパスである藤沢バイパスと接続しています。終点は、茅ヶ崎市汐見台、緑が浜、浜須賀の各地域に位置する浜須賀交差点で、国道134号に至ります。

道路の構造としては、藤沢市内の浜見山交差点から終点の茅ヶ崎市浜須賀交差点までの区間が片側2車線、合計4車線と比較的広い構造になっている一方、その他の区間は主に片側1車線の合計2車線で供用されています。地域においては「湘南新道」という愛称で親しまれることもあります。

交通量に関するデータとしては、2010年度（平成22年）の道路交通センサスによると、横浜市戸塚区東俣野町で一日あたり約17,000台、藤沢市大鋸で約21,000台、藤沢市辻堂大平台で約18,000台、茅ヶ崎市常盤台で約9,000台の交通量が観測されています。特に、藤沢市の中心部に近く、国道467号と交差する藤沢橋交差点付近では、藤沢駅へのアクセス路としての機能も担っていることから交通量が非常に多く、日常的に渋滞が発生しやすい状況が確認されています。

歴史

この県道の一部は、比較的新しい区間と歴史のある区間から成り立っています。現在の終点側にあたる茅ヶ崎市内の浜見山交差点から浜須賀交差点までの区間は、古く昭和10年（1935年）には、既に当時の「湘南海岸道路」の一部として開通していました。

第二次世界大戦が終結し、経済活動が活発化するにつれて、主要幹線道路である国道1号や、後の国道134号となる湘南海岸道路、そしてその周辺道路の交通量が大幅に増加し、混雑が慢性化するようになります。こうした状況を緩和するため、新たなバイパス道路として、藤沢橋交差点から浜見山交差点までの区間の建設が計画されました。

計画は具体化し、昭和35年（1960年）4月1日には、「藤沢小和田線」として神奈川県の県道に指定され、整理番号61が付与されます。同年11月22日には、在日米海軍辻堂演習場跡地の海岸沿いに二級国道134号横須賀大磯線が開通し、それまで湘南海岸道路の一部であった浜見山交差点-浜須賀交差点間は国道134号としての指定から外れます。

そして、昭和36年（1961年）5月29日には、バイパスとして建設が進められていた藤沢橋交差点から浜見山交差点までの区間が満を持して開通を迎えます。この区間は、当時の他の道路と比較して路幅が広く設計されていたため、車両がスピードを出しやすい特性がありましたが、特に鵠沼付近には見通しの悪い急カーブが存在したことから、開通当初には残念ながら交通事故が多発したという記録が残っています。

その後、昭和38年（1963年）に藤沢バイパスが全線開通したことに伴い、国道1号の経路が変更されました。これにより、それまで国道1号として供用されていた藤沢バイパス出口交差点から藤沢橋交差点までの区間が、本県道に編入されることになります。さらに、昭和46年（1971年）6月26日には、国により主要地方道に指定され、県内の幹線道路としての重要性が一層高まりました。

地理

神奈川県道30号戸塚茅ヶ崎線は、以下の自治体を通過します。

神奈川県
横浜市戸塚区
藤沢市
茅ヶ崎市

この県道は、通過自治体内で複数の道路、鉄道路線、そして河川などと交差しながら続いています。

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