神威 (水上機母艦)

神威（かもい）

神威（かもい）は、日本海軍において運送艦（給油艦）から水上機母艦へと改装された艦船です。アメリカで建造され、太平洋戦争以前には日本海軍最後の海外発注艦でした。艦名は北海道の神威岬に由来しています。

概要

給油艦としての役割

1922年にアメリカのニューヨーク・シップビルディング社で竣工した神威は、初めは給油艦として運用されました。アメリカ海軍の電気推進艦研究に基づいて、ターボ・エレクトリック方式の機関を搭載し、当時の潮流に乗った革新艦の一つとして注目されました。
竣工後、神威は数回にわたり北米や東南アジアからの重油還送任務に従事し、その任務を通じて日本海軍の燃料供給を支えました。特に重油を約10,000トンまで搭載できる能力を評価され、海軍の補給網の重要な一翼を担いました。

水上機母艦への改装

1930年代、神威は水上機母艦に改装されることになりました。先行艦の成功を受け、1933年2月より浦賀船渠での改装が行われ、改装後は水上機を常用6機、補用6機収納できる能力を持つ母艦として運用されるようになりました。また、給油艦としての機能も維持され、特務艦籍のまま運用が続けられました。

神威は水上機の運用において、艦尾に装備されたデリックを使い、航行中でも水上機を安全に揚収する試みも行いましたが、その実用性には限界があり、1939年にはこの装置は撤去されました。

大戦中の活動

太平洋戦争開戦時、神威は第二十四航空戦隊に所属し、中部太平洋と南洋諸島の補給任務に従事しました。1941年から1943年にかけて、南洋部隊との連携を強化し、輸送任務や航空機の補給任務を行いました。特に、航空隊の移動や補給は戦局において重要な役割を果たしました。

一方、戦局が厳しくなる中、神威自身も数度の空襲に晒され、1944年1月には米潜水艦による攻撃で大破、シンガポールでの修理を受けます。この際に母艦としての設備を撤去し、特務艦（給油艦）に類別変更されました。

最後の時期

1945年初頭、神威はヒ87船団の旗艦として南方に向けて出撃しましたが、戦斗環境の厳しさから数回の攻撃を受けて大破。香港での修理中に再び空襲を受け、その損害が重なり、最終的に香港に放置されたまま終戦を迎えることになります。

戦後、神威はイギリス軍によって解体され、その艦歴は幕を閉じました。

結論

神威はその多様な役割と数々の戦歴から、太平洋戦争における日本海軍の一翼を担った艦船として記憶されています。給油艦から水上機母艦へと改装され続けたその経歴は、時代の変化を反映する艦船として、多くの海軍史研究者の関心を集めております。

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