神島型敷設艇

神島型敷設艇

神島型敷設艇（かみしまがたふせつてい）は日本海軍が設計、建造した敷設艇の一カテゴリーであり、合計2隻が竣工しました。この艦艇の導入は、1944年（昭和19年）の秋に行われたもので、当時の戦局を鑑みると迅速な対応が求められました。

背景

1944年の秋、海上の機雷敷設を行うための艦艇が計画されましたが、当時既存の敷設艦艇が多数失われていたため新たに敷設艇の建造が急務とされました。日本海軍は戦時標準船を改造し、新しい敷設艦艇を構造することを決定しました。この計画により、建造番号が1801番から1809番まで割り当てられ、急いで建造されることとなったのはうち3隻でしたが、1隻は建造中止となり、最終的には神島と粟島の2隻が1945年2月に造船されました。

艦の特性

建造

1番艦の神島は1945年7月に竣工しましたが、その後すぐに終戦を迎えることとなり、実際の戦局には寄与できませんでした。2番艦の粟島は戦後復員輸送艦として螺旋階段がまで竣工しましたが、当初の目的を果たすことはできませんでした。

デザインと構造

神島型の設計は、平島型敷設艇（通称：測天型敷設艇）を基にしており、構造や艤装は可能な限り簡素化されました。具体的には線図において直線を多用し、船体はキャンバーがない形状で、艦首にはあまり曲線を用いず直線的な形状となっています。また、上構も簡素化され、煙突は六角形に設計されています。このような設計哲学は、急速な建造を行うための合理的な選択でした。

動力

神島型の主機には、マン式ディーゼルエンジン在庫品を1隻分用い、残る艦艇には当時の丙型海防艦で量産されていた艦本式ディーゼルを利用しました。これにより、神島は16.5ノットの速力を持ち、粟島は19.5ノットを記録しています。平島型の護衛任務に対し、本型では航続力を計画の14ノットで3,000カイリに設定されます。

兵装

艦の兵装には、従来の8cm高角砲ではなく、仮称五式（ボーフォース）40mm単装機関砲が標準装備され、合計2基が搭載されました。機銃については、25mm連装機関銃が2基、単装が3挺という内訳で計画されましたが、最終的に連装が1基と単装4挺が搭載されることとなったといいます。また、電子機器としては13号および22号の電探、九二式の水中聴音機、三式二型探信儀を装備しており、最新の技術を取り入れていました。

同型艦と建造予定

同型艦としては、神島（第1801号艦）と粟島（第1802号艦）が存在します。予定していた第1807号艦、彦島は三菱神戸造船所での建造が計画されていましたが、特攻兵器の製造が優先されたために建造が取り止めとなりました。

参考文献

この情報は、(社)日本造船学会『昭和造船史(第1巻)』や福井静夫の『終戦時の日本海軍艦艇』、また、牧野茂と福井静夫が編集した『海軍造船技術概要』から得られています。

もう一度検索