神徳王后

神徳王后康氏の生涯と家族

神徳王后康氏（しんとくおうこう・こうし、1356年7月12日 - 1396年9月15日）は、李氏朝鮮の初代王李成桂の第二夫人であり、事実上の最初の王后です。彼女は信川で生まれた後、李成桂と結婚し、谷山に居を構えることになりました。別名は顕妃、または順元顕敬神徳王后とも呼ばれます。彼女のルーツは高麗の初代王王建にまでさかのぼり、伝承によると康氏の先祖は高麗末期に重要な役割を果たした功臣にあたります。

家族背景

神徳王后は康允成の娘で、忠恵王時代に文科に及第した翰林学士の家系に生まれました。母は晋山府夫人の姜氏です。神徳王后は李成桂と結婚し、彼と共に二人の息子と一人の娘を儲けました。結婚当時、高麗では多くの妻を持つことが許されていましたが、李成桂にはすでに「郷妻」と呼ばれる第一夫人の韓氏がいました。韓氏との間には六人兄弟姉妹が生まれ、その中に朝鮮の第2代王である定宗や第3代王の太宗が含まれています。経済的にも家柄的にも康氏は有力であり、李成桂から特に愛されました。

朝鮮建国への貢献

1392年、李成桂が高麗を滅ぼし、朝鮮を建国すると、康氏は即位し、王后の称号を得ました。彼女は朝鮮の建国において重要な役割を果たし、後継者である世子の選定にも関与しました。息子の中から芳碩を世子に選ぶよう李成桂に進言し、その結果芳碩が世子に任命されました。しかし、この選択が後に王朝内の権力闘争を引き起こすことになり、王后もその影響を受けることになりました。

王后の死と影響

1396年、神徳王后は体調を崩しながらも息子たちの未来を案じて亡くなりました。彼女の遺体は漢城府の聚賢坊に埋葬され、後に「貞陵」と名づけられました。彼女の死は李成桂に深い悲しみを与え、政治からの離脱を余儀なくされました。1398年には、彼女の長男芳遠が異母弟たちを殺害して王位を奪う事件、すなわち第一次王子の乱を引き起こします。さらに、1400年には第二次王子の乱が続き、この厳しい権力闘争は多くの悲劇をもたらします。

家族の行く末

康氏の子供たちもまた、波乱に満ちた運命を辿ることになります。長男の芳蕃は、1398年に未成年で亡くなり、次男の芳碩は廃位にされ、長女の慶順公主は後に出家して生涯を終えました。これら一連の出来事は、神徳王后の死後も王朝内での混乱と葛藤を引き起こしていくことになります。神徳王后康氏の生涯は、ただ一人の王妃としてだけでなく、複雑な権力闘争の中で重要な存在であったことを示しています。

後世への影響

神徳王后は、1408年に太宗により降格され、彼女の碑は徹底的に破壊されましたが、300年後の1669年、顕宗の時代に回復されました。この複雑な歴史を経て、神徳王后康氏は朝鮮王朝の中で永続的な影響を持つ重要な人物として語り継がれています。

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