神田喜一郎

神田 喜一郎 (1897-1984)

神田喜一郎（かんだ きいちろう）は、日本の著名な東洋学者であり、書誌学者としても知られています。彼は1919年に京都帝国大学文学部史学科支那史学専攻を卒業し、長い学術的キャリアを築きました。彼の業績は古典文学や歴史、特に中国文学に関する研究に寄与しており、日本における東洋学の発展に重要な役割を果たしました。彼の号は「鬯盦」であり、書室を「佞古書屋」と名付け、独自の視点で学問を追求しました。

学歴と初期のキャリア

神田は、京都市上京区で生まれ、京都府立第一中学校と第三高等学校を経て、1921年に京都帝国大学で学位を取得しました。その後、1923年から大谷大学で教鞭を執り、1926年に宮内省図書寮の嘱託として働き始めました。この時期に彼は漢籍目録の編纂を担当し、専門的な知識と技術を磨きました。

その後、1929年に台北帝国大学に助教授として招かれ、1934年には教授に昇進しました。1936年までの期間中には、フランスとイギリスで研究を行い、敦煌写本に関する研究を深化させました。しかし、戦後の1945年に台北帝国大学を退職し、再び大谷大学に戻り、1948年には大阪商科大学教授も務めました。

学問的業績

神田喜一郎は多くの著作を残しており、彼の研究は東洋学の領域で高く評価されています。主な著作には、『狩谷掖齋全集（七） 日本見在書目證注稿』や『日本書紀古訓攷証』、さらには『敦煌學五十年』などがあり、これらは日本の古典文学や歴史に光を当てる重要な作品です。彼の著作は新しい視点を提供することで、研究者や学生にとって貴重な資料となっています。

特に『中国の古印－その鑑賞の歴史』は編著として、多くの図版を収録し、中国古代の印章についての理解を深める一助となっています。また、彼は1972年に日本学士院会員に選出され、その学問的貢献が広く認識されました。

家族と影響

神田の長男である神田信夫もまた東洋学者として名を馳せ、清史や満州族史の研究に携わりました。次男の神田孝夫は比較文学やドイツ語学での業績を持っています。神田喜一郎は、学問の世界において家族の影響も大きく、子どもたちもそれぞれの分野で活躍しました。

最後の年と legacy

1984年に故人となるまで、神田は数多くの学術活動に貢献し続けました。彼の業績は今なお研究の基盤となり、多くの研究者に影響を与えています。その蔵書は大谷大学に所蔵され、後世に渡って彼の知識と情熱が受け継がれています。彼の研究と著作は、東洋学が持つ深淵さや複雑性を理解するための重要な礎であり、今後も多くの人々にインスピレーションを与えることが期待されます。

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