神聖ローマ帝国軍

神聖ローマ帝国軍とは

神聖ローマ帝国軍（Reichsarmee）は、1422年に創設された神聖ローマ帝国の陸軍です。1806年にナポレオン戦争によって帝国が解体されるまで、その役割を担いました。ここで重要なのは、神聖ローマ皇帝の軍隊である皇帝軍（Kaiserliche Armee）とは異なる組織であるという点です。

歴史

帝国軍は、常設の軍隊ではありませんでした。危機が発生した際に、帝国内の各領邦から兵員を招集し、帝国戦争や帝国執行などの任務を遂行しました。しかし、兵士たちは皇帝よりも、自らの領邦君主に忠誠を誓う傾向にありました。

創設と初期

1422年、ニュルンベルクで開催された帝国議会で、フス派への対策として各地域からの軍隊派遣が決定され、帝国軍が創設されました。フス戦争（1420年 - 1434年）において、帝国軍はその存在意義を示しました。その後100年間は、兵員数に制限が設けられました。

1521年のヴォルムス帝国議会では、兵員数を歩兵20,063人と騎兵4,202人に維持することが決定されました。後にこの数は歩兵20,000人、騎兵4,000人に簡略化されました。帝国軍を維持するための月賦は、「ローマ進軍援助」として知られるようになりました。各領邦からの兵員提供の割り当ては、帝国台帳に定められました。

三十年戦争

三十年戦争（1618年 - 1648年）に帝国軍が参戦したという説がありますが、これは誤りです。実際には、皇帝軍が参戦しました。

帝国守備令

帝国軍の構成が明確になったのは、1681年の「帝国守備令」（Reichsdefensionalordnung）において、帝国クライスごとに割り当てが定められた時でした。総兵員数は歩兵28,000人と騎兵12,000人（竜騎兵2,000人を含む）とされ、緊急時にはこの比率を維持したまま兵員数を2倍または3倍にすることが可能とされました。

1681年に定められた帝国クライスの割り当ては、帝国の終焉までほとんど変更されることはありませんでした。兵員は連隊に編成され、兵員の代わりに資金を提供することも認められていました。

終焉

1804年、フランツ2世が「フランツ1世」としてオーストリア皇帝に即位すると、皇帝の領土から拠出された軍勢は「帝国および王国軍」（Kaiserlich-königliche Armee）と呼ばれるようになりました。しかし、この軍勢は1805年のウルムの戦いとアウステルリッツの戦いでフランス軍に敗北しました。

1806年、フランスは旧神聖ローマ帝国の領邦を、ライン同盟というフランスの従属国組織に組み込みました。ライン同盟には、独自の連邦軍が設けられました。

神聖ローマ帝国軍は、帝国の歴史とともに歩み、数々の変遷を経てその役割を終えました。

参考文献

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John G. Gagliardo, Reich and nation: the Holy Roman Empire as idea and reality, 1763-1806 (Indiana University Press, 1980)
Winfried Dotzauer, Die deutschen Reichskreise (1383–1806) (Stuttgart 1998, ISBN 978-3-515-07146-8)
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Martin Rink, Harald Potempa, 'Der Zusammenbruch des Alten Reichs (962-1806) und des alten Preußen im Jahre 1806' in Militärgeschichte March 2006
Hanns Weigl, Die Kriegsverfassung des alten deutschen Reiches von der Wormser Matrikel bis zur Auflösung (Bamberg, 1912)

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