禁じられた恋

禁じられた恋（きんじられたこい）

「禁じられた恋」は、日本のシンガーソングライターである森山良子が1969年3月25日にフィリップス・レコードから発表したシングル、およびそのA面に収録された楽曲です。作詞を山上路夫、作曲を三木たかし、そして編曲を高見弘が手掛けたこの曲は、森山良子さんのキャリアにおいて最も成功した作品として広く知られています。

楽曲のヒットと評価

このシングルはリリースされるやいなや大きな反響を呼び、その累計売上は80万枚を突破し、資料によっては100万枚に迫る、あるいは超えるとも記録されています。これは当時の歌謡曲、特にフォークソングとしては異例の大ヒットであり、日本の音楽シーンに大きな足跡を残しました。1978年10月に発行された若者向け雑誌『セブンティーン』の記事によれば、その時点でオリコン調べによるフォークソングのシングル売上ランキングにおいて、歴代5位にあたる79万枚のセールスを記録していたと報じられており、その根強い人気が伺えます。叙情的で切ないメロディーと、禁じられた恋という普遍的なテーマを歌った歌詞が、多くの人々の共感を呼び、世代を超えて愛される楽曲となりました。

NHK紅白歌合戦での歌唱

「禁じられた恋」の大ヒットは、森山良子さんの音楽キャリアにおける重要な節目となりました。この年の大晦日、1969年12月31日に放送された第20回NHK紅白歌合戦に、森山さんはこの曲で記念すべき初出場を果たしました。国民的なテレビ番組の舞台で「禁じられた恋」を披露したことは、楽曲の人気をさらに高め、森山良子さんの存在を全国に知らしめる機会となりました。

シングル収録曲

シングル盤には、A面に「禁じられた恋」が、そしてB面には同じく山上路夫作詞、三木たかし作曲、高見弘編曲による「心からあなたに」が収録されています。

楽曲の背景と影響

この楽曲には、音楽的なルーツや後世への影響が指摘されています。

ひとつは、楽曲のメロディーラインに、1953年に織井茂子さんが歌い大ヒットした「黒百合の歌」（作詞：菊田一夫、作曲：古関裕而）をモチーフにしているのではないかという説があります。これは、時代を超えて受け継がれる歌謡曲のメロディーラインや構成の影響関係を示す興味深い事例と言えるでしょう。

また、この曲は後の世代のカルチャーにも影響を与えたとされています。1977年から1979年にかけてフジテレビ系列で放送された人気テレビアニメ『ヤッターマン』の第1作において、後期エンディングテーマとして使用された「ドロンボーのシラーケッ」（作詞・作曲：山本正之、歌唱：小原乃梨子、八奈見乗児、たてかべ和也）の冒頭部分の曲調が、「禁じられた恋」の出だしをモチーフにしていると指摘されています。全く異なるジャンルの楽曲に影響を与えた点も、「禁じられた恋」が持つメロディーの強さや印象深さを示すエピソードと言えるでしょう。

「禁じられた恋」は、森山良子さんのアーティストとしての地位を確立しただけでなく、日本のポピュラー音楽史において、その記録的なセールスと後世への影響という両面から、語り継がれるべき一曲として重要な位置を占めています。

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