禁帯出

禁帯出（きんたいしゅつ）について

禁帯出とは、図書館における特定の資料について適用される貸出区分の一つです。一般的に、この指定が施された資料は、館内での閲覧のみが許可され、館外への持ち出しは禁止されています。図書館では、該当する資料に赤いラベルが貼られ、「禁帯出」またはその略称である「禁帯」と表示されることが一般的です。このラベルは通常、資料の目立つ部分に付けられています。

禁帯出指定の理由

禁帯出が指定される理由は、大きく分けて二つに集約されます。第一に、資料を館外に持ち出すことによって発生する汚損や破損を防ぐためです。使用中に資料が破損するという事例は少なからず存在し、これを未然に防ぐための措置が求められています。第二に、特定の資料が長期間にわたり占有されることで、他の利用者に対しても迷惑をかける恐れがあるためです。図書館は、利用者全体に対して資料の公平な利用を促進する役割を担っています。

禁帯出に指定される資料の種類

禁帯出に指定される資料は、一般に以下の三つのカテゴリに分けられます。まず一つ目は、事実解説的資料です。これには、白書、辞書、事典、便覧、統計、年鑑、図録といった資料が含まれます。これらは特定の情報を迅速に取得するために非常に重要な資料です。

次に、案内指示的資料があります。例えば、書誌、目録、索引などが含まれ、これらは他の資料を探す際に役立ちます。最後に、レファレンスブック、いわゆる参考図書も禁帯出に指定される重要な資料群です。一般に、これらの資料は部分的な閲覧で目的が達成できるため、館内利用が推奨されています。

さらに、特別な理由から禁帯出に指定されることのある資料には、高価な書籍や郷土資料、特殊な資料、貴重書、希書、新聞や雑誌の最新号、人気図書の複本などがあります。また、大学の図書館においては、紀要や視聴覚資料も禁帯出に指定されることがあります。

禁帯出と「館内」の違い

禁帯出という区分の他にも、「館内」とも表示されることがありますが、両者の意味は非常に似ています。いずれも「図書館内でしか利用できない」ということを示しており、実際の利用条件において大きな違いは存在しません。

禁帯出の特別貸し出し

ただし、禁帯出に指定された資料でも、館長の認可を得れば特別に貸し出されることがあります。例えば、一部の図書館では、閉館時刻の直前から翌日の開館時刻直後までの間に限定して、「一夜貸し」が行われることがあります。さらに、図書館の設置元となる自治体の関係機関や、他の図書館、博物館などに対して禁帯出資料の貸し出しを認める場合も見られます。これにより、特定の情報にアクセスしたい特別な利用者にとって、有用な措置といえるでしょう。

参考文献

このように、禁帯出制度は、資料の保護と利用者間の公平性を維持するために重要な役割を果たしています。図書館は、利用者が円滑に必要な情報を得られる場所であるべきです。

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