禅徳寺 (美濃加茂市)

禅徳寺の歴史と文化

禅徳寺は、岐阜県美濃加茂市伊深町に位置する臨済宗妙心寺派の寺院です。山号を大仙山と称し、美濃三十三観音霊場十二番札所、中濃八十八ヶ所霊場六十五番札所としても知られています。

開創の歴史

禅徳寺の歴史は古く、一説によれば承元年間(1207～1211年)に高倉秀仁（恵通僧都）が小庵を結んだのが始まりとされています。当初は大仙坊という天台宗の寺院でした。その後、天文年間(1532～1555年)に大仙祖吟によって禅徳庵が開山され、天正2年(1574年)には妙心寺の末寺となり、大徳山禅徳寺と号するようになりました。

寛永年間(1624～1644年)には実休祖休がその跡を継ぎ、寛文8年(1668年)には、佐藤吉次と代官の中村五郎右衛門が龍福寺四世の一秀玄廣を開山として招き、現在地に移転し開創されました。この移転により、禅徳寺は新たな歴史を歩み始めることになります。

関山慧玄との縁

伊深の地は、臨済宗妙心寺派の開祖である関山慧玄が幼少期を過ごした場所であり、その旧跡を偲んで正眼寺が開かれています。禅徳寺は、当時その南に位置し、同じ臨済宗妙心寺派に属していたことから、卜雲寺、龍安寺、放光寺とともに正眼寺の四隣寺として深い交流がありました。この地における禅宗文化の隆盛に、禅徳寺も重要な役割を果たしていたことが伺えます。

天和義民事件と寺

寺の前には、天和2年（1682年）に旗本の伊深佐藤氏に対して年貢の減免を訴えて処刑された天和義民事件の犠牲者を供養する石地蔵が建立されています。この石地蔵は、当時の農民たちの苦難と、それに対する抵抗の歴史を今に伝える貴重な遺産です。また、境内には十王堂も存在し、地域の信仰の歴史を物語っています。

寺宝

禅徳寺には、関山慧玄が当地に滞在していた際に所持していたとされる笈と念持仏が残されており、これらは「開山様のじょりぬぎば」という通称で親しまれています。これらの寺宝は、禅徳寺の歴史と関山慧玄との深い繋がりを示す貴重な文化財です。

まとめ

禅徳寺は、その長い歴史の中で、地域の信仰と文化の中心として重要な役割を果たしてきました。関山慧玄ゆかりの地としての歴史、天和義民事件の犠牲者を供養する石地蔵、そして貴重な寺宝など、多くの歴史的遺産を有しています。この寺は、訪れる人々に深い感銘を与え、歴史と文化の重みを伝えています。

参考文献

『美濃加茂市史　民俗編』　第一二章　仏寺と法会　第八節　伊深　禅徳寺　p414　美濃加茂市　1978年
『美濃国加茂郡誌』　第七章　宗教　第二節　寺院　【伊深 禅徳寺】　p774～p775　 岐阜県加茂郡役所　1921年
* 『美濃伊深村の歴史と民俗　神社と仏寺』　佐野一彦

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