福井鉄道140形電車

福井鉄道140形電車

福井鉄道140形電車は、同鉄道で活躍した電車で、初代と2代目の2世代が存在します。いずれも他社から譲渡された車両をベースに製造されており、福井鉄道の歴史を語る上で重要な車両です。

初代140形電車

初代140形電車は、1964年（昭和39年）に名古屋鉄道（名鉄）から譲渡されたモ700形とク2200形を組み合わせた車両です。2編成4両が在籍しました。モハ141・142は元名鉄モ700形701・705、クハ141・142は元名鉄ク2200形2201・2202を改造したものです。

譲渡に際しては、併用軌道区間走行に対応するため前面に排障器が、客用扉に折り畳みステップが設置されました。また、名鉄時代からの大型標識灯が急カーブ区間で破損する問題に対処するため、1964年11月には2両固定編成化が行われ、連結面が切妻構造に変更されました。この改造により、全長が短縮され、窓配置や前面窓の構造も変更されています。さらに、運転台側窓は一段下降窓化、客用扉は自動扉化され、車内放送装置も新設されました。

初代140形電車は、老朽化のため1979年（昭和54年）に廃車されました。

2代目140形電車

初代140形の老朽化に伴い、1979年から1981年にかけて登場したのが2代目140形電車です。3編成6両が在籍し、560形とともに福井鉄道で最後まで残った吊り掛け駆動車両でした。2代目140形は、モハ140-1形とモハ140-2形からなる2両固定編成で、制御器、電動発電機、電動空気圧縮機搭載位置がそれぞれに分けられていました。車内はセミクロスシートで、客用扉間が転換クロスシート、後部客用扉から連結面までがロングシートでした。

2代目140形の種車は、譲渡車と福井鉄道の生え抜き車両の計3種類あり、車両形状や座席定員に違いがありました。主要機器は統一され、制御器は東洋電機製造製ES516型、主電動機はウェスティングハウス社製WH556-J6型を使用していました。主電動機はモハ140-1形に4基、モハ140-2形に2基と変則的な配置で、パンタグラフはモハ140-1形に1基搭載されていました。

各車両とも改造が施されており、前面中央窓下に行先・種別表示幕が新設され、併用軌道区間走行に対応した改造も行われています。具体的には、長野電鉄から譲渡された車両、福井鉄道生え抜き車両、名鉄から譲渡された車両それぞれに、運転台の撤去や新設、扉の移設、窓のHゴム固定化、車体延長などの改造が施されました。台車も、種車によって異なるものが使用されました。

2代目140形電車は、1998年から1999年にかけて廃車となり、2006年10月のさよなら運転を最後に解体されました。約20年間、福武線の主力として活躍しました。

編成

初代140形電車の編成は以下の通りです。

モハ141（元名鉄モ700形モ701）-クハ141（元名鉄ク2200形ク2201）
モハ142（元名鉄モ700形モ705）-クハ142（元名鉄ク2200形ク2202）

2代目140形電車の編成は以下の通りです。

モハ141-1（元長野電鉄モハ300形モハ301）-モハ141-2（元名鉄モ900形モ901）
モハ142-1（元長野電鉄モハ300形モハ302）-モハ142-2（元名鉄モ900形モ902）
* モハ143-1（元モハ40形モハ42）-モハ143-2（元名鉄モ900形モ907）

初代と2代目140形電車は、それぞれ異なる歴史と特徴を持つ車両ですが、ともに福井鉄道の鉄道発展に貢献した車両として、その歴史は長く記憶されることでしょう。

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