福井鉄道F1000形電車

福井鉄道F1000形電車について

福井鉄道F1000形電車は、福井県で運行される路面電車の一種で、愛称は「フクラム」です。この電車は、超低床設計を採用し、3車体連接・3台車の構造を持っています。2013年から2016年にかけて、4編成12両が導入され、初の営業運転は2013年3月に開始されました。福武線での運用に加え、えちぜん鉄道三国芦原線との相互直通運転にも利用されています。

導入の背景

福武線は福井県の越前市、鯖江市、福井市を結ぶ約20キロメートルの路線で、一部が道路と併用される特性を持っています。以前は高床の大型車両が使用されており、低床ホームとの段差が大きな問題となっていました。このため、福井鉄道は2005年に親会社から買い取った低床路面電車車両を使って何とか改善を図りました。しかし、経営の厳しさから2007年には存続の危機に直面しました。

その後、沿線地域と福井県は支援によって福武線の存続を図り、新型車両の導入計画が進められました。2009年には「福井鉄道福武線地域公共交通総合連携計画」が策定され、バリアフリー化を進めるための低床電車の導入が決定されました。そして、3車体式の超低床電車が新潟トランシスによって製造されることとなりました。

F1000形の概要

F1000形電車は、100%の低床構造を持ち、耐候性鋼板とステンレス鋼板が使用されています。これにより、耐久性とメンテナンス性が向上しています。車両の先頭部はガラス繊維強化プラスチックで構成されており、全体での一体感が醸成されています。編成全体の長さは約27.16メートルで、幅は最大2.65メートルと、他の路面電車より広めです。

車両の特性

デザインは、先頭車両のドアが8か所配置されており、乗車口と降車口が分けられています。車内にはクロスシートやロングシートが配置され、乗客は合計155名が収容可能です。また、特殊な低床設計により、乗降時の段差を最小限に抑えています。

台車は独立車輪を採用したボルスタレス式のため、走行時の安定性が確保されています。電動機は高出力のかご形三相誘導電動機を採用し、電気ブレーキと機械ブレーキを併用する仕組みです。最高速度も70km/hに設定されています。

運行状況と評価

各編成はそれぞれ異なるカラーに塗装され、運行開始から多くの注目を集めています。第1編成はオレンジ色を基調にし、県民投票で選定されました。導入以来、乗客数が増加し、2014年にはバリアフリー設備が評価され「ローレル賞」を受賞しています。相互直通運転が開始されると、福井鉄道主導で周辺交通機関との連携も進められています。

終わりに

福井鉄道F1000形は地域密着の交通手段として、多くの市民に支えられ、育まれてきた重要な存在です。その設計や導入の背景からも、地域交通の重要性が伺えます。今後もこの車両が地域社会に貢献し続けることを期待したいです。

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