福住中定城

福住中定城について

福住中定城（ふくすみなかさだじょう）は、奈良県天理市福住町に所在する日本の城であり、平山城および丘城に分類されます。戦国時代の重要な拠点であったこの城は、福住氏の祖先が管理していました。城は現代において山林に覆われていますが、いくつかの後世の改変が見られながらも、城の構造は非常に良好に保存されています。福住町には、福住城と呼ばれる2つの城が存在し、福住井之市城が新しい城であり、福住中定城は古い城と考えられています。

歴史的背景

福住中定城の歴史は非常に古く、永享6年（1434年）に「筒井城」と並んでその名が文献に記録されたことが確認されています。この時期、福住氏と筒井氏の軍は応仁の乱の際に城に駐留していました。文明7年（1475年）には福住館が、文明13年（1481年）には福住城として記載されており、その名称が変わっていく過程として城郭が発展した様子が示唆されています。福住氏は地域において古くから力を持つ豪族であり、特に氷室社の祭祀権を持って地域社会において重要な役割を果たしていました。

筒井順永の兄である大東が福住氏を継承したことから、この一族はさらに力を増しました。文明13年10月13日の日記には関連する家族間の建築活動について記載されており、隊の動員によって新しく建造された山内新城が福住井之市城であることが記録されています。この後、福住氏はこの城を奪取し、本城を福住井之市城に移しました。

戦国時代の動き

永禄12年（1569年）、筒井順慶は松永久秀に筒井城を攻め落とされ、福住城に逃げ込みました。この時も福住井之市城が主たる戦場となりました。福住中定城は、その小規模ながらも整然とした縄張りが特徴で、戦国末期の築城技術が伺える遺構として高く評価されています。福住中定城は、その構造から見ても新しい時代に改修がされており、福住井之市城が本城となった後もその役割が果たされ続けていたことが指摘されています。しかし、いつ廃城となったかは明確ではなく、福住井之市城と同時期であった可能性も考えられています。

城郭の特性

福住中定城の基本的な構造は、主郭と2つの付属曲輪から形成されています。防御面で自然の地形を巧みに利用しながらも、その他の理由からこの地に城が築かれたとする見方が強いです。主郭の北には高さ3メートル、幅約7メートルの土塁が巻かれ、その名も「折」となる部分があることで、敵からの攻撃に対してちょっとした防御効果を持っていたとされています。

主郭は平坦地となっており、内部には武者溜りなどの構造も確認されます。南東部に付属する曲輪は敵の監視にも適した配置となっていることから、主郭を防御するための前衛的な役割を果たしていたと考えられます。これらの複合的な構造は、歴史的に二段階の発展があったことを示しています。

アクセス情報

福住中定城の跡地へのアクセスは便利で、JR西日本の桜井線の天理駅や、近畿日本鉄道の天理線の天理駅から近距離にあります。また、奈良交通の21系統バスで福住下車後、徒歩約10分で到着します。車でのアクセスの場合は、名阪国道の福住インターチェンジから国道25号へ出るルートがあります。駐車場も五大明王社に用意されているため、訪れる際には便利です。

福住中定城は、その歴史的価値と保存状況から、興味深い観光スポットとして多くの人々に親しまれています。

もう一度検索