福原有信

福原有信（ふくはら ありのぶ）

福原有信（1848年5月10日 - 1924年3月31日）は、日本の実業家であり、薬剤師です。彼は、今日の化粧品会社である資生堂を創業した人物として最もよく知られています。

略歴

福原有信は、嘉永元年（1848年）に安房国松岡村（現在の千葉県館山市）で生まれました。18歳で幕府医学所に入り西洋薬学を学び、薬剤師として勤務しました。その後、東京大学病院などを経て、1872年に銀座に日本初の洋風調剤薬局「資生堂」を開業しました。当時、日本では医薬分業の概念がまだ普及していませんでしたが、福原はいち早くその必要性を認識し、実践しました。

資生堂では、日本初の練り歯磨き「福原衛生歯磨石鹸」（1888年）や化粧水「オイデルミン」（1897年）を開発・販売し、日本の化粧品業界の発展に大きく貢献しました。1917年には化粧品部を独立させ、株式会社資生堂を設立し、現在の資生堂の基礎を築きました。

実業家としての活動は資生堂にとどまらず、1888年には帝国生命保険（現：朝日生命保険）の設立発起人となり、社長として生命保険の普及にも尽力しました。また、1907年からは日本薬剤師会の第3代会長を務め、薬学の発展に貢献しました。

1920年には、箱根に大規模な山荘を建設。この山荘は、三男で写真家でもあった福原信三がフランク・ロイド・ライトに設計を依頼したもので、建築史的にも価値のある建物として知られています。

福原有信は、その功績が認められ、1921年に緑綬褒章、1924年には従五位勲四等瑞宝章を受章しました。

家族

妻：とく（鈴木喜三郎の長女）
長男：福原信一
三男：福原信三
四男：福原信辰
五男：福原信義
長女：とり（川名博夫の妻）
二女：ゆう（天野七三郎の妻）
三女：信子（野依辰治の妻）
四女：美枝子（渋沢武之助の妻）

著作

田原達也『薬令輯彙』福原有信補訂
「本年虎列刺流行中石炭酸昇汞消費高及石炭酸溶解法」『薬学雑誌』
「薬舗景况一斑」『薬学雑誌』
* 「故日本薬学会有功会員雨宮綾太郎君小伝」『薬学雑誌』

福原有信は、日本の薬学と美容業界の発展に大きく貢献しただけでなく、社会事業にも積極的に関わった人物でした。彼のパイオニア精神と革新的な発想は、今日の資生堂にも受け継がれています。

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