福山大空襲

福山大空襲の概要

福山大空襲（ふくやまだいくうしゅう）は、1945年8月8日の深夜に広島県福山市を襲った空襲であり、この歴史的な空襲は福山空襲とも呼ばれています。第二次世界大戦末期のこの攻撃は、市民にとって非常に過酷なものでした。

空襲の背景

1945年6月から始まった福山への空襲の予兆は、既に市の南東に位置する福山海軍航空隊に対する機銃掃射で現れていました。特にグラマン戦闘機による攻撃が続きました。また、7月31日には1機のB29が飛来し、空襲予告のビラを6万枚も散布しました。

空襲の詳細

この空襲は、マリアナ諸島テニアン島にあるアメリカ陸軍戦略航空軍の基地から出撃した91機のB-29爆撃機によって実施されました。午後10時25分に照明弾が船町の上空で炸裂し、その後の1時間10分にわたり、M47焼夷弾やM17収束爆弾などが市内に投下されました。焼夷弾が次々と落下する中で、福山の主要な建物が瞬時に炎に包まれていき、国宝である福山城の天守も崩れ落ちました。

多くの市民が避難を試みましたが、防火活動に向かった人や防空壕に留まっていた人々など、合計354名が命を落としました。また、福山駅も焼夷弾の攻撃を受け、半焼の状態となりましたが、復旧作業により翌日の早朝には運行が再開されました。

空襲の結果

この空襲による被害は甚大であり、死者354名、重傷者122名、軽傷者742名に及びました。また、焼失した家屋は10,179戸、被災者数は47,326人に達しました。福山市の人口が58,745人だった時点で、約81%が影響を受けたことになります。そして、市街地の約80%に相当する314ヘクタールの土地が焼け落ちました。

主な被災物

空襲によって損傷を受けたのは、福山城天守や福山駅だけではありません。警察署や郵便局、市役所、消防署などの官公庁に加え、多数の学校が被害を受け、多くの施設が壊滅しました。反撃を試みた陸軍や海軍の高射砲部隊が配置されていましたが、戦果はありませんでした。

復旧活動

空襲終了後、福山市では迅速に復旧活動が進められました。翌朝から、幹線道路の確保や戦災者の救護、遺体の処理作業が開始されましたが、これらの作業が完了したのは9月6日のことでした。

慰霊と記憶

1969年には、空襲を時代の記憶として留めるために、福山市中央公園に「追憶」と名付けられた慰霊碑が建立されました。この像は、空襲から逃げ惑う母子を模しています。毎年8月8日には慰霊式が行われ、多くの人々が集まり、犠牲者を追悼しています。

福山大空襲の悲劇は、地域の歴史を深く刻みつけており、今もなお多くの人々によって記憶され続けています。

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