福山市民の歌

福山市民の歌

「福山市民の歌」は、広島県の福山市の市民歌として位置づけられており、山陽新聞社によって選定され、寄贈された作品です。この歌は、1916年に設立された福山市の市制40周年を記念して、1956年に制作されました。作詞は藤岡栄一、作曲は広島大学の教授である高田信一が手がけており、この二人の協力によって福山市民の心に響く楽曲が誕生しました。

歴史的背景

福山市民の歌の誕生のきっかけは、1956年に山陽新聞社が行った懸賞募集です。この年の2月1日付の山陽新聞にて、市民歌と市民音頭の2部門で募集が行われ、福山市民が歌詞を応募しました。4月1日に行われた入選発表では、福岡市在住の藤岡栄一が市民歌部門での入選を果たし、歌詞が選ばれました。この時の市民音頭部門には、東京都の池田誠一郎が応募した作品が採用されています。

作曲を依頼された高田信一は、広島地域において多くの楽曲を手がけた著名な作曲家で、彼の作り出したメロディーは多くの市民に愛されることとなりました。そして、1956年7月1日には山陽新聞社から福山市への寄贈式が行われ、市民歌が正式に市の歌として承認されたのです。

市民歌のその後

1979年には、芹洋子が歌唱した「流れによせる歌（芦田川）」が新たに市民歌謡として選定されました。しかし、同時に発売されたキングレコードのシングル盤のB面には「福山市民の歌」も収録されており、それにより、この歌の存在は引き続き市内での認知度を高める要因となりました。最近の新年互礼会では、市と福山商工会議所が共同で「福山市民の歌」を斉唱する機会が設けられており、市民の心に根付く歌としての役割を担っています。

合併と市民歌

福山市は1966年に隣接する松永市と合併し、現在の形になりました。市民歌に関しては、旧福山市の市章とともに、合併後も引き継がれる形となりました。当時、松永市には市歌が制定されていませんでしたが、前身の沼隈郡松永町においては「松永町民歌」という歌が存在していました。平成の大合併により、沼隈郡内海町や沼隈町、芦品郡新市町、深安郡神辺町との合併が行われましたが、それらの合併協議において市民歌に関する議論は行われず、福山市民の歌が継続されることとなったのです。

音楽著作権の状況

興味深いことに、「福山市民の歌」の旋律は、2010年12月31日に著作権の保護期間が終了しました。これにより、誰もがこの楽曲を自由に使用することが可能になりました。市の公式ウェブサイトでは、2023年の時点で「福山市民の歌」と「流れによせる歌（芦田川）」の両方が公開されていない状況です。

市民歌は地域のアイdenティティの一部であり、福山市民によって今後も歌い継がれていくことでしょう。

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