福島年光

福島年光の生涯

福島年光（ふくしま としみつ）は、明治時代に活躍した浮世絵師であり、その生没年は不詳ですが、東京出身であることが確認されています。彼は地方を旅した後、1893年頃またはその翌年に東京に戻り、さらに1904年には戦争絵を多く制作していました。彼の作品には、特に日清戦争や日露戦争に関するものが多く含まれています。

来歴と困窮の生活

年光は1894年10月には京橋区水谷町に居住するようになりますが、帰京当初から困窮した生活を余儀なくされていました。この厳しい状況に同情した松野米次郎が彼を支援し、日清戦争から日露戦争にかけての戦争絵画を描く機会を与えられました。年光は「星湖」との号も持ち、1904年に出版された大判の三枚続きの錦絵『旅順港第八次海戦 マカロフ中将奮死ノ図』には、その印章が見られます。

彼はまた、1899年4月から発刊されていた『千代田日報』の挿絵を手掛けるなど、活動の幅を広げていきました。しかし、その一方で、彼は他の版元に対して錦絵の下絵を売却し、彩色を放置するなどの行動を繰り返しました。これが原因となって、年光に仕事を依頼する版元が減少することとなり、彼は再び生活の困難に直面することとなります。

出奔とその後

そのような事情から、年光は最終的に生活の困難を理由に出奔し、所在不明となりました。彼が出奔した時は「未だ青年の人」との記録も残っています。1898年5月には月岡芳年翁の碑が建立された際、芳年の門人のリストに年光の名が見られることから、彼が尊敬されていたことがうかがえます。しかし、その後の彼の行方についての情報は途絶えてしまいます。

誤解と同一視

なお、福島年光という名前は他の浮世絵師と重なることがあります。進斎年光という名前で西南戦争の錦絵を描いたという記録はありますが、これが年光とは別の人物であることが多くの場合に指摘されています。同様に、芳年の弟子の大月年光とも混同されることがありますが、年光自体が西南戦争の時期に活躍していたという証拠はなく、誤伝であると思われます。

参考文献

• - 由良哲次編『総校日本浮世絵類考』画文堂、1979年
• - 菅原真弓『月岡芳年伝 幕末明治のはざまに』中央公論美術出版、2018年

年光の作品やその活動の詳細は、歴史的背景や浮世絵の変遷を知る上でも貴重な情報と言えるでしょう。彼の置かれた複雑な状況とは裏腹に、日露戦争といった歴史の一コマを記録し続けた彼の姿は、多くの人々に影響を与えました。

もう一度検索