福建艦隊

福建艦隊について

福建艦隊、または福建水師は、清朝の末期に設立された海軍の中でも特に重要な地域艦隊の一つです。この艦隊は福建省沿岸および台湾の防衛を主な任務としており、その成立から解散に至るまで、複雑な歴史をたどりました。

清朝の海軍設立の背景

清朝の近代海軍の歴史は、1863年に始まります。当初は外国人による支援に依存していたものの、この状況は国内で問題視されました。そのため、1865年には最初の艦隊であるオズボーン艦隊が解散となりました。国防を自主的に強化するため、1866年、左宗棠の主導のもと、福州に福州船政局が設立され、国内での艦船建造を目指しました。

この船政局は、1870年代には年間2000トン級の艦艇を建造できる能力を持ち、他の艦隊への供給も行いました。また、ここで海軍要員の育成も行われ、中国初の海軍教育機関として機能しました。

台湾出兵と激化する海防意識

1871年、宮古島の島民が台湾の原住民に殺害される事件が発生しました。このため、日本政府は清朝に対して賠償を求めましたが、清朝の見解は原住民には責任がないというものでした。その後、日本は居留民保護の名目で台湾に出兵しました。この時、清朝海軍は日本の装甲艦に対抗できる戦力を持っておらず、国防意識が急速に高まりました。

この事態を受けて、直隷総督の李鴻章は海軍予算の増額を提案するに至り、福建艦隊は最大で11隻を有する部隊として編成されました。

清仏戦争と艦隊の運命

1885年、清仏戦争の初戦である馬江海戦で、フランス艦隊による攻撃を受け、福建艦隊は壊滅的な損害を被りました。この戦闘では、旗艦の揚武が座礁し、艦隊の9隻が沈没しました。この戦争における敗北により、福建艦隊の名声と政治的な影響力は著しく低下しました。

戦後には艦艇の数もわずか2隻しか補充されず、艦隊としての活動は極端に減少しました。1891年以降は、清朝廷の経費削減政策により新たな艦艇購入が停止され、福建艦隊は深刻な資金不足に直面します。

統合と解散

日清戦争において福建艦隊は戦闘には参加しませんでしたが、戦争中に日本海軍に鹵獲された艦艇に福州船政局製のものが含まれていました。1909年には清政府が福建艦隊を含む他の艦隊と統合し、巡洋艦隊と長江艦隊に再編成されました。この過程で独立した福建艦隊は事実上解散しました。

まとめ

福建艦隊の歴史は、清朝海軍の発展と衰退を象徴するものであり、近代中国における軍事力の変遷を物語っています。これにより、国防意識の高まりや艦隊の整備がいかに国の未来に影響を与えたかを考える上で重要な事例となります。

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