馬江海戦

馬江海戦について

馬江海戦（ばこうかいせん）、または馬尾海戦は、1884年に発生した清仏戦争の緒戦を成す重要な海戦である。この戦いでは、フランス海軍のアメデ・クールベ提督が指揮する極東艦隊が清朝の福建水師と福州船政局に対し壊滅的な攻撃を行った。

戦闘の背景

戦闘の背景には、ベトナム進出を図るフランスと、阮朝ベトナムの宗主国である清朝との対立が存在した。清朝は当初は戦果を出せず、1884年5月11日に李鴻章が天津停戦協定を結び、軍の撤退や貿易路の確定を図った。しかしその後、両国間で協定の解釈を巡る意見の食い違いから緊張が高まり、清朝の主戦派が活動を再開。フランス国内でも開戦の意気が高まっていった。

8月には、フランス艦隊8隻が福州沖の羅星塔に停泊し、閩江の封鎖を行った。清朝側では、福州の馬尾港に13隻の軍艦が待機していたが、福建軍務会弁の張佩綸は開戦回避に努め、攻撃には至らなかった。しかし、和平交渉は決裂し、1884年8月22日、フランス艦隊の攻撃命令が下され、戦闘が開始された。

戦闘の進行

フランス艦隊は、デュゲイ・トルーアンやヴィラールなどの巡洋艦を主力とし、トリオンファンなどを含めた艦艇編成で臨んだ。対する清国側は木製コルベット艦の揚武を旗艦に、旧式の艦船を揃えて臨戦準備を整えていた。両艦隊は運用法も異なり、フランス艦隊は火力で優位を持っていた。

清国艦隊は、南北からフランス艦隊を挟み込む形で配置したが、戦闘準備は整わず、攻撃開始が近づく中でも反応が鈍かった。攻撃は、フランス艦隊の水雷艇が清国艦隊の旗艦揚武に向けて攻撃を行い、フランスの巡洋艦は次々と清国艦船を撃沈させた。福建艦隊は、フランスの強力な火力に対抗できず、劣勢を余儀なくされる。

戦闘の結果

戦闘は午後5時に終了し、フランス艦隊は勝利を収めた。清国側は、艦船11隻のうち9隻を喪失し、多くの人命が失われたとされる。一方で、フランスの損失は比較的小さく、10名の死者と48名の負傷者にとどまった。

その後、フランス艦隊は福州造船廠への攻撃を計画したが、清朝側の防備が堅く、砲撃による損害を与えるにとどまった。続く閩江下流の攻撃では、清朝の河岸砲台が次々に破壊され、最終的に福州一帯の海防施設は壊滅した。

結論

馬江海戦は清仏戦争の重要な局面であり、フランス艦隊の戦略的勝利をもたらした。戦後、清朝の政府内では責任者の処罰が行われ、艦隊の指揮系統に大きな問題があったことが指摘された。この戦いを契機に、その後の清仏戦争の行方は大きく変わっていくことになる。

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