福田功

福田 功（ふくだ いさお）氏は、1953年6月28日に奈良県天理市で生まれた、かつてプロ野球選手（捕手）としてプレーし、引退後は指導者、解説者、球団職員として長年野球界に貢献した人物です。

奈良県立郡山高校では、森本達幸監督の指導を受け、野球技術だけでなく人間性も磨きました。特に、母子家庭で育ち、入院した母親のために献身的に尽くす姿を見た森本監督にその誠実さを買われ、正捕手に抜擢されました。3年時にはエース川畑雅洋投手とバッテリーを組み、1971年の甲子園大会に春夏連続で出場。春は2回戦敗退、夏は準決勝で敗れるも、チームの中心選手として活躍しました。

高校卒業後、監督の推薦もあり、1972年に川畑投手と共に中央大学へ進学。大学でも2年生から正捕手となり、東都大学野球リーグで2度の優勝（1973年春、1974年秋）に貢献。全日本大学野球選手権（1973年）、明治神宮野球大会（1974年）でも優勝を経験するなど、大学球界を代表する捕手として活躍しました。同期には行沢久隆氏、後輩には岡村隆則氏らがいます。4年時にはアジア野球選手権の日本代表にも選出され、1975年のドラフト会議で中日ドラゴンズから5位指名を受け入団しました。

中日入団後、強肩捕手として期待されましたが、残念ながらプロ入り直後に肩を故障。この影響で、現役時代に一度も一軍公式戦に出場することは叶いませんでした。選手登録の傍ら、二軍で用具係を務めるなどチームを支え、ブルペン捕手としても貢献しました。1981年には一時二軍コーチを兼任しましたが、選手としては翌1982年限りで現役を引退しました。

現役引退後も中日ドラゴンズに留まり、1983年から1989年まで球団マネージャーを務めました。この時期、チームのために奔走する姿や、その人間的な魅力は星野仙一監督（当時）の目に留まり、1990年には二軍監督に抜擢されました。二軍監督としては、1990年、1992年にウエスタン・リーグ優勝を達成し、1990年のジュニア日本選手権では日本一に導くなど、若手育成の手腕を発揮しました。その後も、一軍作戦兼バッテリーコーチ、二軍バッテリーコーチ、一軍総務、一軍総合コーチ、二軍ヘッドコーチ、一軍バッテリーコーチ、一軍バッテリー総合コーチなど、2002年まで様々な役職を歴任。特に捕手指導者として、中村武志氏を正捕手に育て上げ、矢野燿大氏や鈴木郁洋氏といった後の主力捕手を育成するなど、多くの選手を育てました。

2002年オフに中日を退団した後、翌2003年からは横浜ベイスターズの一軍バッテリーコーチに就任。当時の横浜は正捕手不在に悩んでいましたが、福田氏の指導により相川亮二氏が成長し、正捕手として定着しました。2004年限りで山下大輔監督が退任する際、福田氏も辞意を表明しましたが、その指導力を高く評価した球団から引き留められ残留。2005年には牛島和彦監督の下でヘッドコーチを務め、チームのAクラス入りに貢献しました。同年9月には体調不良を理由に休養し、シーズン終了後に退団しましたが、実際には別の事情があったとされています。

横浜退団後は、野球解説者として東海ラジオやJ SPORTSで活動（2006年～2009年）。データに基づいた丁寧な解説でファンに親しまれました。また、2007年～2008年には北京五輪野球日本代表のスコアラーとして、星野仙一監督をサポート。ライバルチームの情報収集に尽力し、予選突破に貢献しました。

その後もプロ野球界との関わりは続き、阪神タイガースで球団本部編成部課長（2010年～2011年）、東北楽天ゴールデンイーグルスではチーム運営やスカウト部門の要職（2012年～2019年）を歴任するなど、様々な形でプロ野球を支えました。

約43年間にわたりプロ野球界に尽力した後、楽天を退団。現在は名古屋市郊外で生活しており、中部学院大学の外部コーチとして学生の指導にあたっています。選手としての挫折を乗り越え、指導者、裏方、そしてアマチュア野球の指導まで、彼の野球人生は常にチームと選手のために捧げられてきました。

主な背番号：22（選手）、66（選手・コーチ）、86、91、90、76、75（コーチ・監督）

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