福田正夫 (音楽プロデューサー)

福田正夫：アキシブ系を創始した音楽プロデューサー

福田正夫（ふくだ まさお）は、日本の音楽プロデューサー、音楽ディレクター、そしてA&Rとして知られています。1967年7月23日生まれ、群馬県出身。株式会社フライングドッグの音楽制作部長を務めています。

1990年代に流行した渋谷系音楽のエッセンスをアニメソングに取り入れたことで、「アキシブ系の創始者」と評されています。彼の音楽キャリアは、光文社でのレディースコミック編集者としての6年間から始まりました。その後、新聞の求人広告で見つけたビクターエンタテインメントのディレクター募集に応募し、音楽業界へと転身しました。田村充義プロデューサーの下で経験を積み、小泉今日子やアン・ルイスといったアーティストを担当しました。

音楽的ルーツとアキシブ系の誕生

福田が音楽の仕事に携わるきっかけとなったのは、ピチカート・ファイヴやオリジナル・ラブ、フリッパーズ・ギターなどの渋谷系アーティストの作品でした。制作側に入ってからも、無意識のうちにそうした作家陣を起用してきたといいます。当初、アニメや声優の知識はほとんどありませんでしたが、1990年代後半の声優ブーム期に桑島法子と豊嶋真千子のユニット「GIRLS BE」を担当し、渋谷系ミュージシャンが参加したアルバム『フレンチ大作戦』（1997年）を制作しました。当時は大きな成功を収めませんでしたが、後年「アキシブ系のルーツ」として再評価されることになります。

福田自身は、『アニソンマガジン』の編集長から「アキシブ系の創始者」としてインタビューを受けた際に、初めて「アキシブ系」という言葉を知ったそうです。2007年には、自身が関わったアニメ作品を中心にしたコンピレーション・アルバム『AKSB～これがアキシブ系だ!～』を制作し、アキシブ系を広く知らしめることとなりました。

アニメ音楽への情熱

アキシブ系と呼ばれる音楽の傾向について、福田は「ジャズやソウル、ボサノヴァ、昔の映画音楽など、いわゆるサバービアと呼ばれるジャンルなどを背景に持つアーティストたちが、あの時代に集まって作っていた音楽が渋谷系と呼ばれた。そういった音楽的背景を持つアーティストがアニメという自由なフィールドの中でポリシーを曲げずにやっている音楽」と語っています。また、「アキシブ系のようなムーヴメントがあることによって、アニメ音楽も実はものすごくクオリティの高いハイセンスなことをやっているジャンルなんだということを、一般の方々に認知していただきたい」と、アニメ音楽への熱い思いを述べています。

坂本真綾との出会いと「ARIA」シリーズ

アーティスト担当としては、坂本真綾関連の仕事で広く知られています。音楽ディレクターを担当した『ちょびっツ』以降、北川勝利（ROUND TABLE）が創作上の重要なパートナーとなっています。佐藤順一監督と組んだ「ARIAシリーズ」では、趣味のブラジル音楽からChoro Club feat. Senooの起用を提案し、サントラのセールスも好調だったことから、「一番自分のやりたいことをやれた作品」と述べています。

『マクロスΔ』での新たな挑戦

長年マクロスシリーズの音楽を手がけてきた佐々木史朗に代わり、2016年放送の『マクロスΔ』の音楽プロデューサーを担当。「絶対に売れなければいけない」というプレッシャーの中で、自身の持ち味である渋谷系音楽を封印し、中毒性のある昭和歌謡曲のテイストを選択しました。ボーカルユニット「ワルキューレ」が日本ゴールドディスク大賞アニメーション・アルバム・オブ・ザ・イヤー（『Walkure Attack!』）を受賞、オリコン週間シングルチャート1位（『未来はオンナのためにある』）を獲得するなど、大きな成功を収めました。また、メンバーのソロ活動もプロデュースしています。

主な担当アーティスト

小泉今日子
アン・ルイス
坂本真綾
ROUND TABLE featuring Nino
牧野由依
清浦夏実
中島愛
May'n
la la larks
下地紫野
ワルキューレ
JUNNA
鈴木みのり
安野希世乃
西田望見
諸星すみれ
* 中島怜

福田正夫は、アニメ音楽の可能性を追求し、新たな音楽の潮流を生み出し続けている、革新的な音楽プロデューサーです。

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