福留宏紀

福留 宏紀

1975年5月21日生まれ、愛知県名古屋市南区出身の福留宏紀は、右投右打の内野手としてプロ野球界に足跡を残しました。地元の享栄高校で野球に打ち込み、3年生となった1993年には夏の全国高等学校野球選手権大会に出場。惜しくも1回戦で敗退しましたが、その実力が認められ、同年のプロ野球ドラフト会議にてオリックスから4位指名を受けてプロ入りを果たしました。

プロ選手としてのキャリアの中で、福留氏は非常に稀な記録を達成しています。1997年9月15日、グリーンスタジアム神戸で開催された対西武ライオンズ戦に「8番・二塁手」としてプロで初めて先発出場した際、2回裏の第1打席において、相手投手・竹下潤の初球を捉え、レフトスタンドへ運ぶ本塁打としました。この一打は、プロ野球史上37人目の初打席本塁打であり、さらに初球を打って達成したのは史上5人目という歴史的な快挙として記録されています。この試合で彼は、プロ初出場（1997年9月11日の対千葉ロッテマリーンズ戦）に続き、初先発出場、初安打、初本塁打、初打点という記録を同時にマークしました。

しかし、この鮮烈な記録以降、チーム内に類似したタイプの選手が複数存在したことも影響してか、レギュラー定着には至らず、選手としての大きな飛躍を遂げるには至りませんでした。2004年末に球界再編に伴う分配ドラフトを経て、2005年シーズンはオリックス・バファローズの一員としてプレーしましたが、同年シーズン終了後に球団から戦力外通告を受け、現役を引退することとなりました。

現役引退後、福留氏は指導者の道へ進み、自身の経験を若い世代や様々なカテゴリーの選手たちに伝えています。埼玉県さいたま市にある「アーデルバッティングドーム」内に設立された野球塾では、オリックス時代のチームメイトであった高見澤考史氏と共に、主に小中学生を対象とした指導にあたっています。また、女子野球界にも貢献しており、2017年後期からは当時の日本女子プロ野球機構（JWBL）に加盟していた埼玉アストライアの総合強化コーチを務め、2018年をもって退団しました。

独立リーグでの指導経験もあり、2020年2月20日には、ベースボール・チャレンジ・リーグ（BCリーグ）の福島レッドホープスに非常勤の野手コーチとして入団することが発表されています。さらに、国際舞台でもその手腕を発揮し、2022年には女子野球日本代表のコーチに選出され、2023年5月のアジアカップや、2024年9月に開催された2024 WBSC女子野球ワールドカップのグループステージ（B組）など、日本代表の戦いをサポートしました。

近年は社会人野球の指導にも携わっており、2024年には広島県の社会人チームであるMSH医療専門学校硬式野球部で監督を務めました。そして、2025年からは、新たに創設される社会人チーム、マルハン北日本カンパニー硬式野球部のコーチに就任することが決まっています。

福留氏がプロ選手時代に背負った背番号は、オリックス時代の1994年から2000年までが「56」、2001年から2004年までが「4」でした。オリックス・バファローズでプレーした2005年シーズンと、福島レッドホープスでコーチを務めた2020年から2023年までは「0」を着用しています。

プロ時代の主な記録
初出場: 1997年9月11日、対千葉ロッテマリーンズ21回戦（グリーンスタジアム神戸）、9回表に二塁手で出場
初先発出場: 1997年9月15日、対西武ライオンズ24回戦（グリーンスタジアム神戸）、8番・二塁手で先発出場
* 初打席・初安打・初本塁打・初打点: 同上、2回裏に竹下潤から左越ソロ ※史上37人目の初打席本塁打（初球での達成は史上5人目）

現役時代は歴史的な記録を残し、引退後は野球塾、女子プロ野球、独立リーグ、女子日本代表、社会人野球など、幅広いカテゴリーで指導者として野球界に関わり続けています。

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