福祉党 (トルコ)

福祉党の概要

福祉党（トルコ語：Refah Partisi、RP）は、トルコにおけるイスラーム主義政党であり、「繁栄党」とも呼ばれています。1983年に設立され、それ以来トルコの政治の中で重要な役割を果たしてきました。特に1995年の総選挙では、議会での第一党に躍進し、1996年には党首ネジメッティン・エルバカンを首班とする政権を樹立しましたが、軍部の圧力により1998年に非合法化されました。

沿革

福祉党のルーツは、エルバカンが1970年に設立した国民秩序党およびその後継政党である国民救済党にさかのぼります。1980年9月のクーデターにより国民救済党が解散させられたため、民政移管が行われた1983年に新たな政治勢力として福祉党が設立されました。その際、エルバカンほか主要幹部は政治活動を禁止されていたため、弁護士のアリ・テュルクメンが党首に就任しました。

1987年、エルバカンの公職追放が解除され、再び党首として党を率いることになりました。福祉党は1987年の総選挙に参加し、7.2%の票を獲得しましたが、議席を得るための10%に達せず議会に進出することはできませんでした。しかし、1991年の選挙では62議席を取得し、その後1995年には158議席を獲得して第一党となりました。その結果、1996年には正道党との連立政権を実現しました。

政策

福祉党は、国民救済党時代の綱領である「ミッリー・ギョリュシュ」を引き継ぎ、国民の精神的発展や経済政策（「公正な体制」）の実現を目指しました。また、イスラーム諸国との友好関係の促進も重要な政策の一環です。過去の軍事クーデターを経て、政策綱領においては世俗主義の原則を守る意義を強調し、極端なイスラーム化を目指す姿勢を慎重に排除しました。

また、福祉党の地方組織では、オザル政権下で活動した若手活動家が貧困層の地域で政治活動を展開し、福祉党のイメージ向上に寄与しました。これにより、同党は具体的な政策を持つ政党として的位置づけられ、伝統的支持基盤の中小業者や宗教従事者だけでなく、都市の中低所得層からも支持を得ることができました。

1996年のエルバカン政権下では、周辺国との関係強化、財政の健全化、利子所得への課税強化などの政策が実施されましたが、軍部や世俗主義勢力への配慮から、一部の重要ポストは正道党に割り当てられました。そのため、パレスチナ問題やスカーフの着用問題については、前政権の方針を踏襲せざるを得ない状況でした。

非合法化

1997年2月28日、国内の軍部とエルバカン政権の首脳が集まった国家安全保障会議で、軍幹部から福祉党に対する警告が発せられ、圧力が加わりました。5月には憲法裁判所に対して福祉党の非合法化を求める訴訟が起こされ、6月には福祉党系企業に対して不買運動が展開されました。軍部の圧力に屈したエルバカンは首相を辞任し、福祉党政権は崩壊しました。1998年の憲法裁判所による判決により、福祉党の非合法化が決定され、党幹部は5年間の政治活動禁止を命じられました。

福祉党の党員の多くは、その後設立された美徳党に移籍しました。

総選挙での実績

福祉党は参加した各総選挙において、以下のような得票率と議席数を記録しました。

• - 1987年：得票率7.2%（議席なし）
• - 1991年：得票率：不明（62議席獲得）
• - 1995年：得票率：不明（158議席獲得）

歴代党首

• - アリ・テュルクメン（在任1983年）
• - アフメト・テクダル（在任1983年-1987年）
• - ネジメッティン・エルバカン（在任1987年-1998年）

このように、福祉党は複雑な歴史を持ちながらも、トルコ政治において重要な位置を占めた政党として広く知られています。

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