私立探偵 濱マイク

私立探偵 濱マイク

『私立探偵 濱マイク』は、映画監督・林海象が手掛けたハードボイルド探偵ドラマのシリーズであり、同名の探偵を主人公に据えています。主演は永瀬正敏が務め、映画3部作の制作を経て、後にテレビドラマ化もされました。タイトルはミッキー・スピレインのハードボイルド小説『マイク・ハマー』シリーズから着想を得ています。

作品の特徴

物語の舞台は、横浜の下町、黄金町。主人公の濱マイクは、かつて実在した映画館・横浜日劇の2階に事務所を構え、妹と共に生活しています。この設定からも、作品には独特のノスタルジックな雰囲気が漂っています。永瀬正敏の代表作としても知られ、そのスタイリッシュな映像と、ハードボイルドな世界観は多くのファンを魅了しました。

映画版

1993年から1996年にかけて3作品が劇場公開されました。いずれも監督は林海象、脚本は林と天願大介の共作です。初期の日本映画へのオマージュとして、1作目はモノクロで撮影されました。2作目は当初、1950年代のカラー映画のようなシネマスコープサイズ・総天然色での撮影が予定されていましたが、技術的な問題から、通常のカラーフィルムで撮影されました。

主な登場人物

濱マイク：
永瀬正敏が演じる、横浜日劇の2階に事務所を構える私立探偵。本名で活動する珍しいタイプの探偵で、少年時代に親に捨てられた過去を持ちます。養護施設を経て、日劇支配人の福寿に引き取られますが、度々傷害事件を起こし、鑑別所に入ることもありました。その後、自衛隊に入隊するもすぐに除隊。宍戸に師事し、探偵として独立します。友達思いで正義感が強く、頼まれると断れない性格。常に金欠状態です。服装や小物にもこだわりがあり、愛車のナッシュ・メトロポリタンを劇場前に駐車しています。

濱茜：
大嶺美香が演じる、マイクの妹。兄と共に養護施設で育ち、その後福寿に引き取られます。山手のお嬢様学校に通うしっかり者の高校生で、学業成績も優秀。将来は弁護士などの自立した職業を目指しています。

宍戸錠：
宍戸錠本人が演じる、関内で「エース探偵事務所」を構える私立探偵。マイクの師匠であり、元伊勢佐木署の刑事です。

星野光：
南原清隆が演じる、白タク運転手兼情報屋。マイクとは鑑別所時代からの親友で、マイクが危険な仕事に挑む際には、武器を提供することもあります。

その他：
麿赤児、梶原善、阿南健治、近藤芳正、宮地雅子、千石規子、福寿祁久雄、鰐淵晴子など、個性豊かな俳優陣が物語を彩ります。

テレビドラマ版

2002年7月から9月にかけて、日本テレビ系列で全12回が放送されました。映画版とは設定が一部変更されており、新たなキャラクターも登場しています。各エピソードごとに異なる監督が担当し、16mmフィルムで撮影された点も特徴的です。

主な登場人物

濱マイク：
永瀬正敏が続投。皮のコートとサングラスがトレードマーク。愛車はクラウンに変更され、事務所も日劇の屋上に移転しています。

濱茜：
中島美嘉が演じる、マイクの妹。予備校生として登場し、兄の生活費を当てにせずアルバイトをしています。

みるく：
市川実和子が演じる、探偵事務所で働く謎の女性。独特の感性の持ち主で、マイクたちの変化に敏感に気づきます。

その他：
村上淳、松岡俊介、阿部サダヲ、松田美由紀、井川遥、酒井若菜、川村亜紀、中村達也、山本政志、小泉今日子など、豪華なキャストが出演しています。

朗読劇版

2021年2月、ヒューリックホール東京にて公演されました。映画版1作目を原作としています。佐藤流司が濱マイクを演じ、星野光役は矢部昌暉と志村玲於がダブルキャストで担当しました。

舞台版

2022年12月、サンシャイン劇場と森ノ宮ピロティホールにて公演されました。こちらも映画版1作目を原作としており、アクションや歌、ダンスを交えた演出が特徴です。佐藤流司、寺西拓人、矢部昌暉などが出演しました。

漫画版

1996年から1998年にかけて「ビジネスジャンプ」にて連載されました。井上紀良が作画を担当し、映画版とは異なるオリジナルのストーリーが展開されました。

その他

林監督は、永瀬正敏を自身の監督作品『ZIPANG』に出演させることができなかった過去があり、その借りを返す形で濱マイクシリーズを製作することになったというエピソードがあります。
映画版3作は、それぞれ次回予告が本編後に上映されましたが、これは本編撮影時に製作されたもので、実際の次回作とは異なる内容でした。
テレビドラマ版では、各話ごとに異なる監督や脚本家が起用され、毎回異なるタイトルロゴが使用されるなど、実験的な試みが行われました。
* テレビドラマ放映開始日には、アニメ『名探偵コナン』に永瀬正敏が濱マイク役としてゲスト出演しました。

『私立探偵 濱マイク』は、映画、ドラマ、舞台、漫画など、様々なメディアで展開され、多くのファンに愛されています。その独特な世界観と、個性的なキャラクターたちが織りなす物語は、これからも多くの人々を魅了し続けるでしょう。

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