秋尾敏

秋尾 敏（あきお びん）

秋尾敏は1950年に埼玉県吉川市で生まれ、本名は河合章男です。父である河合凱夫は俳句結社「軸」の主宰として知られ、秋尾の俳句を形成する上での大きな影響源となりました。全国俳誌協会の5代目会長を務め、現代俳句協会の副会長としても活動しています。

来歴

秋尾は千葉県野田市で成長し、埼玉県立春日部高等学校を経て、埼玉大学教育学部国語国文学科を卒業しました。また、図書館情報大学大学院の博士前期課程と筑波大学大学院の博士後期課程を修了し、情報学に関する修士号と博士号を取得しました。このような背景を持つ秋尾は、1971年に父の結社「軸」に入会し、そこで俳論を連載し始めました。

彼の俳句の才能は早くから認められ、1991年に第11回現代俳句評論賞を受賞しました。1992年には「軸」の同人となり、1999年には父の死去を受けて主宰を引き継ぎました。その後、大妻女子大学と日本女子大学で非常勤講師を務める他、メディア教育開発センターでは客員助教授としても活動しました。

受賞歴と現在の活動

俳句における彼の功績としては、2018年に著書『俳句の底力』が第5回俳句四季特別賞に輝き、2020年には『ふりみだす』で第75回現代俳句協会賞を受賞しました。彼は現在、現代俳句協会副会長、全国俳誌協会会長、千葉県俳句作家協会副会長、野田俳句連盟会長など、多岐にわたる役職を兼務しています。

俳文学会、日本ペンクラブ、日本文藝家協会の会員でもあり、俳句の振興に尽力しています。加えて「西日本新聞」や「俳句四季」などの選者としても活躍しています。現在、千葉県野田市に住みながら、地元の俳句図書館「鳴弦文庫」の館長も務めています。

主要な著作

秋尾敏は、多くの句集と評論を発表しています。代表的な句集には以下のものがあります：

• - 『私の行方』（2000年、沖積舎）
• - 『納まらぬ』（2005年、本阿弥書店）
• - 『ア・ラ・カルト』（2008年、本阿弥書店）
• - 『悪の種』（2012年、本阿弥書店）
• - 『ふりみだす』（2019年、本阿弥書店）

また、評論としては、以下のような著作があります：

• - 『子規の近代－滑稽・メディア・日本語』（1999年、新曜社）
• - 『虚子と「ホトトギス」－近代俳句のメディア』（2006年、本阿弥書店）
• - 『俳句の底力 下総俳壇に見る俳句の実相』（2017年、東京四季出版）
• - 『高濱虚子 並に周囲の作者達』（2019年、講談社文芸文庫）

さらに、共著も多くあり、『名歌名句辞典』（2005年、三省堂）や『戦争と文化』（2012年、桂書房）などが挙げられます。彼の幅広い業績は、現代の俳句界の発展に大きく寄与しており、その影響力は今なお色褪せることがありません。

もう一度検索