秋山美紀

秋山 美紀（あきやま みき）は、日本の社会医学系研究者であり、1968年2月13日に生まれました。現在、慶應義塾大学環境情報学部の教授を務め、同時に医学部の兼担教授（衛生学公衆衛生学教室）や大学院の複数の研究科（健康マネジメント研究科、政策・メディア研究科）の委員としても活動しています。また、慶應義塾大学先端生命科学研究所の「からだ館」プロジェクトリーダーや、同体育会ソッカー部の部長も務めるなど、学内における役割は多岐にわたります。

秋山氏は、ヘルスコミュニケーション、コミュニティとウェルビーイング、健康経営、公衆衛生・健康政策といった分野を専門としており、社会福祉士および精神保健福祉士の資格も有しています。これらの専門知識と資格を活かし、健康や医療に関わる社会課題に対し、多角的な視点からの研究と実践に取り組んでいます。

略歴

そのキャリアは学際的かつ多様です。東京都立青山高等学校を経て、1991年に慶應義塾大学法学部政治学科を卒業しました。卒業後は仙台放送に入社し、スーパータイムのキャスターなど、報道番組の担当として1998年までメディアの世界で経験を積みました。

その後、学術の世界へと転じ、2001年にはイギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクスでメディアとコミュニケーション規制に関する修士課程を修了しました。帰国後、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の博士課程で学びを進め、2004年に単位取得退学。2006年には「組織を超えた医療職種間の連携における非同期・蓄積型メディアの効果」と題した論文で博士（政策・メディア）の学位を取得しました。

大学での教職は2007年に始まり、慶應義塾大学総合政策学部の専任講師として着任。2010年に准教授となり、2012年には環境情報学部准教授に異動しました。さらに、2015年には、がん患者、その家族、一般市民を対象とした緩和ケアに関する情報普及の効果に関する論文で博士（医学）の学位を取得し、二つの分野で博士号を持つ研究者となりました。2017年には環境情報学部の教授に昇任し、大学院健康マネジメント研究科の教授も兼任するようになりました。

研究と活動

秋山氏の研究は、情報技術が医療や健康に与える影響、地域社会における「つながり」が人々の健康や幸福感（ウェルビーイング）にどう寄与するか、そして企業が従業員の健康を経営戦略に取り入れる健康経営の推進など、幅広いテーマをカバーしています。特に、医療現場や地域社会におけるコミュニケーションのあり方に焦点を当て、より効果的で人間的なヘルスケアの実現を目指しています。

社会への貢献

学術活動に加え、社会の様々な課題解決にも積極的に関わっています。2019年から2023年にかけて厚生労働省の中央社会保険医療協議会公益委員を務めたほか、医道審議会医道分科会委員、総務省情報通信審議会技術戦略委員会専門委員といった公的な役割を担い、専門知識を行政や政策決定の場に提供しています。また、NPO法人がんサバイバーシップネットワークの副代表理事や一般社団法人日本医療安全学会の理事を務めるなど、市民社会や学術界の発展にも貢献。近年では、日本ゼオン株式会社の社外取締役や公益財団法人医療科学研究所の理事にも就任するなど、活動の場を広げています。2024年には、ヘルスコミュニケーション学関連学会機構の理事（日本ヘルスマーケティング学会会長）としてもリーダーシップを発揮しています。

主な著作・論文

研究成果は多くの著作として結実しています。「地域医療におけるコミュニケーションと情報技術」（慶應義塾大学出版会、2008年）や「コミュニティヘルスのある社会へ ― 「つながり」が生み出す「いのち」の輪 ― 」（岩波書店、2013年）といった単著は、その専門分野を深く掘り下げたものです。また、「価値創造の健康情報プラットフォーム」や「ヒューマンサービスとコミュニティ」などの編著、さらには「デジタルID革命」「会社と社会を幸せにする健康経営」といった多分野の共著にも参加しており、その研究対象の広がりを示しています。

学術論文も国際的な専門誌に多数掲載されており、緩和ケア、遠隔医療の経済評価、がんサバイバーのスクリーニング行動など、多岐にわたる研究成果を発表しています。これらの論文は、国内外の研究者や実務家にとって重要な知見を提供しています。

秋山美紀氏は、研究者として、また社会の様々な立場から、人々の健康とより良い社会の実現に向けて精力的な活動を続けています。

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