秋山賢司

秋山賢司（あきやまけんじ）氏(1946年-)は、日本の囲碁界において、観戦記者、囲碁ライターとして卓越した功績を残した人物です。観戦記者としては「春秋子」のペンネームで知られています。

神奈川県川崎市出身の秋山氏は、早稲田大学法学部を卒業。在学中は囲碁部に所属し、学生囲碁連盟の幹事を務めるなど、学生時代から囲碁に深く関わっていました。卒業後は囲碁雑誌の編集者を経て、フリーの囲碁ライターとして独立。

秋山氏の観戦記者としてのキャリアは、日本棋院選手権戦から始まりました。その後、天元戦では10年以上、そして名人戦では実に36年間にわたって観戦記を担当しました。長きに渡る名人戦観戦記執筆は、日本の囲碁界に大きな貢献を果たしたと言えるでしょう。2024年の第49期名人戦七番勝負の観戦記をもって、体力的な理由から引退を表明されました。

観戦記以外でも、秋山氏は数々の囲碁関連の著作を発表しています。代表的な著書には、『囲碁とっておきの話』や『碁のうた 碁のこころ』などがあります。これらは、囲碁の奥深さや面白さを一般の人にも分かりやすく伝えることを目指した作品です。また、季刊の個人通信誌「凡鳥庵だより」を発行するなど、幅広い活動を行っています。

ライター活動と並行して、秋山氏は囲碁史の研究にも取り組んでいます。2006年4月に設立された「囲碁史会」の運営委員を務め、日本棋院・囲碁殿堂ノミネート委員も務めるなど、日本の囲碁文化の保存と発展にも貢献しています。

秋山氏の執筆活動は多岐に渡り、『週刊碁』をはじめとする多くの囲碁雑誌に寄稿。編集や執筆にも携わった書籍も多く、その数は膨大なものになります。主なものとして、『現代囲碁大系 (第40巻) 加藤正夫 下』（講談社）、『石の攻め方殺し方』（加藤正夫著、日本棋院）、『藤沢秀行飛天の譜 藤沢秀行タイトル戦全集』（日本棋院）、『囲碁百名局』（高木祥一監修、誠文堂新光社）、『加藤正夫打碁集　攻めの構図、読みの力』（木本書店）、『怒涛の譜―加藤正夫精局集』（日本棋院）、『幻庵因碩 打碁集―局全人なく局上石なし』（福井正明著、誠文堂新光社）、『新　四天王のここが強い』（上村邦夫著、誠文堂新光社）、『囲碁古名人全集―すべては算砂・道碩から始まった』（福井正明著、誠文堂新光社）、『囲碁史探偵が行く－昔と今 碁打ちの物語－』（福井正明著、日本棋院）、『井山裕太20歳の自戦記―史上最年少名人までの17局』（日本棋院）などがあります。これらは、単なる観戦記にとどまらず、囲碁の歴史や文化、棋士の人物像などにまで踏み込んだ、多角的な視点から書かれた作品です。

長年にわたる活動で、秋山賢司氏は日本の囲碁界に計り知れない貢献を果たしました。その功績は、これからも囲碁ファンによって語り継がれていくことでしょう。秋山氏の引退は日本の囲碁界にとって大きな損失ではありますが、氏の残した数々の著作や観戦記は、今後とも囲碁の発展に貢献していくでしょう。

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