高木祥一

高木祥一

高木祥一（たかぎ しょういち、1943年11月7日 - 2022年1月20日）は、囲碁棋士。
横浜市出身。日本棋院東京本院に所属し、中川新之七段門下。
2005年からは日本棋院常務理事も務めた。

概要

父親は書家の高木三甫。

古碁の研究に情熱を注ぎ、『官子譜』『玄玄碁経』などの詰碁集の解説や、本因坊丈和、本因坊秀栄などの打碁集の編纂に尽力。
1992年には「棋道」誌で「天下の奇譜」を連載し、古碁の魅力を広く伝えた。

高目の定石や布石を研究し、実戦でも積極的に採用。黒番、白番に関わらず、多くの新手を打ち出した。
その探求心は衰えることなく、晩年まで革新的な着想を追求し続けた。

通算成績は989勝626敗4持碁。800勝達成は史上18人目。

昭和30年代には藤沢秀行邸で行われていた研究会に、林海峰や大竹英雄らとともに最年少で参加。
「のらくろ」という愛称で親しまれた。

趣味の将棋はプロ級の腕前で、囲碁界一の実力と言われた。
「高木さんの才能ならA級入りも目指せた」と評する将棋棋士もいたほどである。

地元横浜市で行われている野毛大道芸では、多面打ちの指導を行うなど、ファンサービスにも熱心であった。

経歴

1955年、日本棋院院生となる。
1956年、中川新之に入門。
1962年、初段。
1966年、五段。
1969年、首相杯争奪戦決勝で工藤紀夫を破り優勝。
1970年、新鋭トーナメント戦優勝。
1971年7月29日から1972年3月16日まで22連勝を達成。これは二十三世本因坊栄寿に次ぐ当時歴代2位（現在は歴代6位タイ）。
1973年、七段で十段戦挑戦者となるが、坂田栄男に0-3で敗れる。
1979年、NHK杯戦決勝で東野弘昭に敗れ準優勝。
1981年、藤沢秀行に敗れ再度準優勝。
1981年、九段昇段。
1988年、鶴聖戦決勝で大竹英雄に敗れ準優勝。
同年の本因坊リーグでもプレーオフ進出をかけた最終戦で大竹英雄に敗れ4勝3敗となり、リーグ残留プレーオフでも加藤正夫に敗れてリーグ陥落となる。
2000年、竜星戦決勝で高尾紳路に敗れ準優勝。
2022年1月20日付で引退。

主な棋歴

首相杯争奪戦 - 優勝2回（1969年、1975年）、準優勝（1968年）
新鋭トーナメント戦 - 優勝（1970年）
十段戦 - 挑戦者（1973年）
NHK杯テレビ囲碁トーナメント - 準優勝2回（1979年、1981年）
鶴聖戦 - 準優勝（1988年）
竜星戦 - 準優勝（2000年）
名人戦リーグ3期、本因坊戦リーグ4期

受賞等

棋道賞
1972年 最多勝利賞・最高勝率賞（30勝11敗2ジゴ、.732）
1976年 連勝賞（13連勝）
1983年 技能賞

著作

『工藤紀夫 高木祥一 現代囲碁大系(32)』勝本哲州執筆、講談社 1982年
『裏の裏定石必勝法-碁がたきを粉砕する』土屋書店 1988年
『天下六段 囲碁戦略-攻防と形』日本棋院 1988年
『碁の醍醐味-利き利かし』日本棋院 1991年
『天下の奇譜と奇手』日本棋院 1993年
『石の健康法』日本棋院 2006年
『秀策極みの一手―最強本因坊の大局観、判断力30選』日本棋院　2010年

編著

『剛腕丈和』日本棋院 (囲碁古典名局選集) 1991年
『流水秀栄』日本棋院 (古典名局選集) 1996年

解説

『碁経衆妙 (上)(下)』林元美原著 教育社 1989年
『玄々碁経 (上)(下)』晏天章、厳徳甫原著 教育社 1989年
『官子譜 (上)(下)』過百齢原著 教育社 1990年
『方円新法』村瀬秀甫原著 教育社 1990年
『囲碁発陽論』井上道節因碩原著 教育社 1990年
『囲碁妙伝 (上)(下)』井上幻庵因碩原著 教育社 1991年

監修

『囲碁百名局 (上)(下)』誠文堂新光社 2001年

高木祥一は、常に囲碁の新たな可能性を追求し、その探求心と情熱は多くの棋士やファンに感銘を与えた。2022年に惜しまれつつ引退したが、その功績は囲碁史に永遠に刻まれるだろう。

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