秋田市立図書館

秋田市立図書館：秋田の読書文化を支える6つの拠点

秋田市立図書館は、秋田県秋田市に広がる公共図書館です。中央図書館明徳館を筆頭に、土崎図書館、新屋図書館、雄和図書館、そして河辺分館と明徳館文庫という6つの施設から構成されています。これらの図書館は、秋田市民の読書生活を支える重要な拠点として、長年に渡り地域に貢献してきました。

豊富な蔵書と活発な利用状況

秋田市立図書館全体では、600,906冊という膨大な蔵書数を誇り、年間787,753点もの図書の貸出実績があります（2012年度）。これは、秋田市民の読書への関心の高さと、図書館が提供するサービスの充実度を示す指標と言えるでしょう。

郷土資料の充実：秋田の歴史と文化を伝える

秋田市立図書館の特徴の一つとして、郷土資料の収集に力を入れている点が挙げられます。特に中央図書館明徳館には、那波家文書や長瀬家文書といった貴重な古文書が保管されており、土崎図書館でも麻木家日記などの古文書が収集されています。これらの資料の一部はマイクロフィルム化され、誰でも閲覧することが可能です。これらの資料は、秋田の歴史や文化を深く理解する上で、貴重な情報源となっています。

課題と取り組み：利用者数減少と予算不足への対応

秋田市立図書館は、2003年をピークに年間貸出数の減少に直面しています。長期的な利用者数の減少は、図書館の存続にとって大きな課題となっています。また、住民一人当たりの年間図書購入費は約62円と、全国的に見ても非常に低い水準です。これは、図書館のサービス向上や蔵書充実の大きな妨げとなっています。

この課題に対処するため、秋田市は図書館の命名権を売却するという大胆な施策を導入しました。2015年からは北都銀行が命名権を取得し、「ほくとライブラリー」の愛称が使用されました。その後、2021年からはきららホールディングスが命名権を取得し、「きららとしょかん」として新たなスタートを切ることとなりました。これらのネーミングライツによる収入は、図書購入費の増強に充てられ、サービスの改善に役立てられています。

歴史と進化：秋田市立図書館の歩み

秋田市立図書館の歴史は古く、1902年に南秋田郡立図書館として土崎港町に設置された土崎図書館にまで遡ります。その後、1941年に秋田市に編入合併され、秋田市立土崎図書館となりました。1962年には新屋図書館が開館し、市内には県立図書館と市立図書館が2館体制で運営されていました。1972年には移動図書館「イソップ号」が運行を開始し、市民の読書環境の向上に貢献しています。

1983年には、東北地方で最初のコンピュータシステムを導入した中央図書館明徳館が開館しました。この開館を機に、市内3館のネットワーク化が実現し、図書の貸出予約や返却が各図書館で可能となりました。その後も、1990年にはキャプテンシステムを利用した館外からの図書検索・予約サービスを開始するなど、情報化時代に対応したサービスの充実にも努めてきました。雄和図書館は、2005年の旧雄和町と秋田市の合併に伴い、秋田市立図書館に加わりました。

多様なサービスと充実した施設

秋田市立図書館では、館外貸出サービスが提供されており、秋田市内在住、または通勤・通学者は誰でも利用できます。貸出には利用者登録が必要ですが、登録後はインターネット上でも貸出予約や貸出状況の確認ができます。また、中央図書館明徳館と土崎図書館では、視覚障碍者向けの朗読サービスも提供されています。

各図書館の開館時間や休館日は図書館によって異なりますが、中央図書館明徳館は平日19時まで、土日祝日は17時まで開館しています。土崎、新屋、雄和図書館、河辺分館は平日19時まで、土日祝日は17時まで開館しています。明徳館文庫は、元日を除き通年営業しています。

各図書館の紹介

中央図書館明徳館:秋田市中心部に位置し、近代的な設備と充実した蔵書を誇ります。

土崎図書館:秋田市で最も歴史の古い図書館で、港町土崎の歴史を感じさせる独特の建築が特徴です。

新屋図書館:旧食糧倉庫を改修した倉庫棟と本館からなるユニークな建物が特徴で、酒造に関する資料も豊富に所蔵しています。

雄和図書館:雄和市民サービスセンター内にあり、地元出身の俳人、石井露月の資料室も備えています。

移動図書館「イソップ号」:市内各地を巡回し、読書の機会を提供しています。

秋田市立図書館は、これからも秋田市民の読書文化を支える存在として、進化を続けていくでしょう。

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