秋葉ダム

秋葉ダムの概要

秋葉ダム（あきはダム）は、静岡県浜松市天竜区に位置し、天竜川の中流部に建設された重力式コンクリートダムです。電源開発株式会社が管理しており、ダムの高さは89メートルです。このダムは、上流にある佐久間ダムからの放流水を調整し、下流の水量を安定させる逆調整池として機能しています。また、秋葉ダムには秋葉第一・第二・第三の各発電所があり、水力発電を行っています。さらに、遠州地域への上水道や工業用水を供給する役割も果たし、三方原台地へのかんがい用水を提供する「遠州の水がめ」としての役割も担っています。

ダムによって形成された人工湖は「秋葉湖」と呼ばれ、天竜奥三河国定公園に指定され、観光名所としても知られています。

地理的特徴

秋葉ダムは、天竜川の本流に沿って建設され、周辺には多くのダムが存在します。大久保ダムや南向ダム、泰阜ダムといったダムが上流にあり、秋葉ダムは下流側から二つ目の位置にあります。ダムが完成した当時は磐田郡龍山村に属していましたが、平成の大合併により浜松市に編入され、現在は天竜区龍山町に位置しています。ダムの名称は近隣の秋葉山に由来しています。

歴史的沿革

天竜川は古代から急流で知られ、豊富な水量を誇る河川です。明治時代には水力発電の潜在力が注目され、大正時代に木曽川の水力発電に成功した福澤桃介が天竜川電力を設立しました。1926年には大久保発電所が建設され、その後も南向ダムや泰阜ダムが建設されましたが、戦争の影響で事業は中断しました。

戦後は電力不足が深刻化し、政府は1952年に電源開発促進法を制定し、電源開発株式会社を設立しました。ダムの建設は1954年に始まり、1958年に完成。秋葉ダムの役割は水力発電に加え、工業用水道やかんがい用水の供給も担っています。

目的と機能

秋葉ダムは当初水力発電を目的としていましたが、現在は幅広い用途に利用されています。ダム完成と同時に秋葉第一発電所や秋葉第二発電所が建設され、1989年には第三発電所も追加されました。これにより、最大で128,050キロワットの電力を供給し、首都圏や中京圏の電力需要に応えています。

さらには三方原台地の水の便が悪い地域に対して、ダムからの水供給が行われ、農業用水や工業用水の確保が進みました。三方原用水の建設もダムの水を利用して進められ、かつて不毛とされた土地が農業生産地として変貌しました。

観光とアクセス

秋葉ダム周辺は観光地としても知られ、特に秋葉山本宮秋葉神社や白倉峡があります。湖畔にはソメイヨシノが多数植えられ、春には「秋葉ダム千本桜」として祭りが開かれます。この時期には「秋葉ダムさくらマラソン」も行われ、地域のイベントとして人気があります。さらに秋葉湖での釣りも楽しめ、多くの釣り愛好者が訪れる場所でもあります。

旅行者は東名高速道路の浜松インターチェンジから国道152号を利用してアクセス可能です。ダム近くには吊り橋もあり、訪問客はダムを間近で観賞できます。

出来事

秋葉ダムの建設過程では1955年に発生した爆発事故があり、19人の命が失われ、多くの負傷者が出ました。また、1960年には集中豪雨の影響で緊急放水が行われ、周囲で浸水被害が発生しました。これらの歴史を通じて、秋葉ダムは静岡県における重要なインフラとなっています。

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