秌場準一

秌場 準一（あきば じゅんいち）氏は、1932年10月6日にこの世に生を受けた、日本の法学者です。その専門は国際私法であり、この分野における日本の第一人者の一人として知られています。一橋大学の法学博士号とイェール大学の法学修士号（LL.M.）を持ち、長年にわたり一橋大学で教鞭を執り、同大学の名誉教授の称号を得ています。学術活動においては、国際法学会や国際私法学会の理事長、そして日本学術会議の会員などを歴任し、日本の法学界の発展に多大な貢献を果たしました。

氏の人生は、兵庫県神戸市で始まりました。大阪商船（現在の商船三井）の船員であった父の長男として生まれ、父は千葉県、母は高知県の出身です。中学時代に神戸から母の故郷である高知県へと生活の拠点を移しました。学業では、神戸市立川池国民学校（現在の神戸市立会下山小学校）、旧制高知県立海南中学校（現在の高知県立高知小津高等学校）、高知県立高知追手前高等学校を経て、1955年に一橋大学法学部を卒業しました。大学では、大平善梧教授のもとで学びました。さらに、1960年には一橋大学大学院法学研究科の博士課程を修了し、久保岩太郎教授の指導のもと、同大学から法学博士の学位を授与されました。学術的な視野を広げるため、1963年にはフルブライト奨学生としてアメリカ合衆国のイェール大学イェール・ロー・スクールに留学し、法学修士（LL.M.）の学位を取得しています。

研究者としてのキャリアは、大学院修了直後の1960年に、母校である一橋大学法学部の専任講師としてスタートしました。その後、1964年には助教授、1972年には教授へと昇任し、国際私法分野の教育と研究を牽引しました。教育活動の傍ら、1980年にはライデン大学法学研究所やロンドン大学高等法学研究所での留学経験を通じて、国際的な研究交流を深めました。また、大学運営にも貢献し、1992年から1994年にかけては一橋大学法学部長および大学院法学研究科長を務めました。一橋大学の定年制度により、1996年3月、63歳をもって同大学を定年退官しましたが、その後も学問への情熱は衰えず、1996年4月からは日本大学法学部教授として教壇に立ち続けました。一橋大学からは、長年の功績を称えられ、名誉教授の称号が贈られています。氏の指導のもとで学んだ門下生からは、一橋大学名誉教授となった横山潤氏や、後に第二東京弁護士会の副会長を務めた中山ひとみ氏など、法曹界や学界で活躍する多くの人材が輩出されています。

秌場氏は学術界における要職を歴任しました。1994年には国際法学会の理事長、1996年には国際私法学会の理事長に就任し、関連分野の研究促進と学会の運営に尽力しました。また、1984年から1986年には日本学術会議国際関係法学研究連絡委員会の委員を務め、1997年から2003年にかけては第17期日本学術会議の会員として、日本の学術政策にも関与しました。これらの公的な活動に加えて、東京家庭裁判所の参与員、調停委員、家事調停委員、家庭事件研究会評議員を務め、司法の現場にも深く関わりました。さらに、法務省法制審議会の幹事や文部省学術審議会の専門委員、司法試験第二次試験の考査委員なども歴任し、法制度の整備や人材育成にも貢献しています。

私生活においては、1966年に、当時東京大学法学部の助手であり、後に国際私法学者として名を知られる鳥居淳子氏と結婚しました。鳥居氏はその後、成城大学教授や法務省法制審議会会長を務めるなど、法学界で重要な役割を果たしています。夫妻の間には、1971年に長男が誕生しており、現在TBSテレビに勤務しているとのことです。秌場準一氏は、その生涯を通じて国際私法学の研究と教育に情熱を注ぎ、また様々な公的な立場で社会に貢献しました。日本の法学界、特に国際私法分野における氏の足跡と功績は、今日まで大きな影響を与え続けています。

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